中国発「ラブブ」原宿の店に行列
2025/07/02 (水曜日)
経済ニュース
中国発「ラブブ」フィギュア落札額約2200万円 日本の店舗でも大行列、企業に広がるキャラクタービジネス【Nスタ解説】
2025年6月10日、北京のオークションハウスにおいて、ポップマート社のキャラクター「Labubu(ラブブ)」等身大フィギュア(高さ131cm)が108万元(約2200万円)で落札された。この驚異的な落札額は、同日開催の「きょうのお値段」特集でも取り上げられ、中国国内のみならず日本の専門店にも長蛇の列ができるほどのブームを巻き起こしている 出典:TBS NEWS DIG turn0search3。
ラブブは香港出身のデザイナー、キャンベル・リョン(梁立雲)氏が生み出したキャラクター。大きなウサギ耳とギザギザの歯を持ち、北欧の森を故郷とする「遊び好きの小さなエルフ」という設定で展開される。2024年に発売されたブラインドボックス版がSNSで拡散し、韓国の人気アイドルグループBLACKPINKのリサが抱きつく写真を投稿したことで一気に知名度が上昇した 出典:TBS NEWS DIG turn0search3。
ポップマートは2010年代後半から「盲盒(ブラインドボックス)」市場を開拓。消費者は中身を選べず、何が出るかは開けてからのお楽しみという仕組みで、コレクター心理を巧みに刺激する。初期には中国国内の若年層が主なターゲットだったが、台湾、日本、米国にも限定版やイベント販売を展開し、世界的なブランドへと成長した。
中国では若年中間層の可処分所得が増加し、趣味・コレクション消費が拡大。ブラインドボックスは「デジタル以外の体験消費」として注目され、オフライン店舗では毎月発売日に数千人が行列を作る。政府の内需拡大策も追い風となり、小売・エンタメ業界の新たな稼ぎ頭に浮上している。
日本では2025年初頭からポップマート公式ショップが東京・大阪に出店。ラブブやMolly、Dimooなど人気シリーズの限定品が並び、発売日には数百人規模の行列が発生。SNSでは「ラブブチャレンジ」と銘打った撮影イベントが拡散し、企業コラボグッズやカフェメニューの導入例も相次いでいる。
これらに共通するのは「アート性」と「少量生産」「コラボ展開」の三点。ラブブはブラインドボックス発の新興勢力として、同じ市場で存在感を高めている。
・ファッションブランド:UNIQLOやGUがラブブTシャツやスウェットを展開
・食品メーカー:コラボ菓子やドリンク容器にラブブデザインを採用
・デジタルゲーム:スマホ向けARアプリでラブブと一緒に写真撮影が可能
こうした多業種コラボはキャラクターIPのライセンス収入を拡大し、本業以外の副次的売上を創出する新たな収益モデルとして注目を集めている。
「ラブブ」等身大フィギュアが約2200万円で落札されたニュースは、キャラクタービジネスの新たな地平を示す出来事と言える。ブラインドボックス文化から生まれたキャラクターIPは、短期間で世界市場を席巻し、企業のコラボ展開やファンコミュニティ形成を加速させる原動力となっている。しかし、高額転売や真贋問題、過剰消費への懸念も無視できない。今後は、IPホルダーとコレクター、ライセンサー企業が連携し、持続可能なライセンスモデルと健全なマーケット環境を構築することが重要だ。文化的価値を長期的に守り育てるためのガバナンス強化と、ファンとのエシカルな関係構築が、次なるチャレンジとなるだろう。
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