東京の区民葬 葬儀業者離脱で波紋
2025/08/23 (土曜日)
火葬場運営の東京博善、「区民葬」から離脱で2万7千円「値上げ」 区議「看過できず」
東京23区で6カ所の火葬場を運営する東京博善が、長年運用されてきた低料金制度「区民葬」の取扱いを終了すると発表しました。終了時期は2026年3月末の火葬分まで。翌4月からは正規料金に一本化され、現在の区民葬(大人)の火葬料59,600円と比べ、改定後の正規料金87,000円との差で実質2万7,400円の負担増となります。現場を預かる自治体・議会からは「看過できない」との声も上がり、制度見直しの議論が加速しそうです。
東京博善は、区民葬が誕生した背景(戦後の低所得者支援)に一定の理解を示しつつも、現在は対象者の審査がなく、目的外利用が可能である点や、組合加盟の葬儀社のみが取り扱える仕組みによる不公平性、そして「火葬」券だけの単独利用が増えている実態などを挙げ、公益性と公平性の観点から見直しが必要と判断したとしています。
東京23区の火葬場9カ所のうち6カ所を担う同社の方針転換は、喪家の費用負担や地域の葬送実務に直結します。区議からは「看過できない」とする意見が出ており、特別区長会は2026年4月以降に新たな補助・助成措置を行う方向性を示しています。具体的な手当の設計はこれからが本番で、低所得者支援と制度の公平性のバランスが焦点です。
区民葬の終了は、利用者にとっての実質的な負担増である一方、事業者は制度の目的との乖離や不公平の是正を主張しています。鍵を握るのは、行政の新補助がどの程度きめ細かく、かつ迅速に設計・実装されるか。葬送は生活に不可欠な公共インフラでもあるため、料金の透明性とセーフティネットの実効性を両立させる落としどころが求められます。
注:本稿は公表資料および報道に基づき作成。金額はいずれも税込相当の表記に基づく。各区の補助要件・申請方法は今後の正式発表を確認してください。
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