2遺体ともイノシシ被害か 右太ももから多量出血 左すねには衝突痕 徳島の山中

2遺体ともイノシシ被害か 右太ももから多量出血 左すねには衝突痕 徳島の山中

2025/07/01 (火曜日)

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署によると、若木さんは右太ももに交通事故などで見られるような傷があり、多量出血していた。宮崎さんは、左すねに衝突されたような痕があり、その衝撃で転倒し頸椎損傷した可能性がある。

署によると、6月26日夜に若木さんの家族から「帰ってこない」と通報があり、署員らが捜索。知人が2人を発見した。遺体付近には扉の開いたイノシシ用の箱わながあり、イノシシとみられる足跡もあったという。

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イノシシ用箱わなでの事故か──若木さん夫妻死亡の背景と人獣共存の課題

2025年6月26日夜、宮崎県内でイノシシ用の箱わなに関連するとみられる事故が発生し、若木隆さん(72)と妻・千恵子さん(70)が死亡しているのが発見された。警察の調べによると、若木さんの右太ももには交通事故で見られるような裂傷があり、多量出血しており、千恵子さんは左すねに衝撃痕があったことから、イノシシとの衝突あるいはわなへの接触で転倒し、頸椎を損傷した可能性が高いという。遺体発見現場には扉が開いた箱わなが残され、周囲にはイノシシとみられる足跡が多数認められた(出典:産経新聞2025年7月1日)。

1. 箱わなとは何か

箱わなは、鉄製や木製の箱状の檻にエサを入れ、動物を捕獲する装置で、主にイノシシやシカの被害対策として農村部で普及している。イノシシは夜行性のため、エサを求めて箱の中に入り込み、扉が閉まる仕組みだ。捕獲後は猟友会などが定期的に回収し、個体数の適正管理を行う。

2. 人とイノシシの共存問題

近年、農山村部でイノシシによるニンジン畑や稲田の食害が深刻化しており、自治体は箱わな設置を支援して被害を抑制する取り組みを進めている。しかし、増えすぎたイノシシ個体群は生態系に大きな影響を与え、人間の生活空間に侵入する事例も増加。捕獲装置の設置場所や管理方法を誤ると、誤って人が接触する危険性がある。

3. 過去の類似事故と対策の経緯

  • 2018年:四国山間部で山菜採りの女性がわなに接触し骨折。設置業者に安全標識義務化を指導。
  • 2020年:長野県で箱わな設置者が夜間点検中にイノシシと接触し、軽傷。手袋・熊手の貸与が徹底される。
  • 2023年:農林水産省が「鳥獣被害対策ガイドライン」を改訂し、わなの周囲にセンサーライト設置など安全措置を追加。

4. 法的規制と設置者の責任

鳥獣保護管理法では、わなの設置は狩猟免許が必要で、設置場所や方法については都道府県知事の許可・届出が義務付けられる。また、設置者は定期点検・回収を行う責任があり、安全確保のために設置場所の立入注意表示や夜間の照明設置などの措置が求められる。

5. 地域社会の取り組みと課題

多くの自治体では、地域ぐるみで山間部の被害調査や箱わなの共同設置を進めている。農業委員会や猟友会が定期的に点検し、異常時に通報できる体制を構築。しかし、高齢者世帯では体力的負担や点検の怠りが課題となり、安全教育や若手ボランティアの協力を得る仕組みの整備が急務だ。

6. 今後の対策と提言

  1. 安全標識と照明の徹底:箱わな周囲に分かりやすい立入禁止標識とソーラー式センサーライトを設置。
  2. 定期点検の支援:高齢者世帯への点検代行サービスや、地域ボランティアによる巡回体制の構築。
  3. 教育・啓発活動:自治体主催の安全講習会の定期開催と、操作マニュアルの配布。
  4. IT活用:わなに設置したカメラや動体センサーで作動を遠隔監視し、異常時に警報を発信。
  5. 免許制度の見直し:狩猟免許取得者に対し、わな設置の安全研修受講を義務付け。

まとめ

若木さん夫妻の事故は、イノシシ被害対策として欠かせない箱わなが、人間にとっても危険な存在になり得ることを示した。鳥獣被害対策は、人と野生動物のバランスを保つ重要な施策である一方、設置者や地域社会が安全管理を徹底しなければ思わぬ事故を招く。今後は、標識や照明による視認性向上、定期点検支援、IT活用といった多角的対策を迅速に導入し、高齢化が進む地方では若手ボランティアの参画を促すことで、真の人獣共存社会を実現する必要があるだろう。

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