父は死刑 弾圧受けた台湾先住民
2025/06/08 (日曜日)
父は死刑、長女は留学諦め歌手で家族支え 弾圧受けた台湾先住民
台湾で1950年代、国民党政権による弾圧で犠牲になった先住民ツォウ族の高一生とその家族の物語を伝える特別展「台湾人権と音楽の継承―高一生、三世代が紡ぐ家族の歌」が台湾文化センター(東京都港区虎ノ門)で開かれている。
特別展「台湾人権と音楽の継承―高一生、三世代が紡ぐ家族の歌」は、台湾文化センター(東京都港区虎ノ門)で2025年5月19日から7月23日まで開催されています。本展では、1950年代の国民党政権による白色テロで犠牲となった台湾先住民ツォウ族(鄒族)の文化人・教育者・思想家であった高一生(こう・いっせい)と、その家族三世代が歩んだ軌跡を、手紙や写真、映像、楽譜などの貴重資料を通じて紹介します。入場無料で平日10:00~17:00(イベント時は土日祝も開館)のスケジュールです :contentReference[oaicite:0]{index=0}。
高一生(本名:高一生、1921~1958)は阿里山(玉山山脈南麓)のツォウ族出身。若くして教育者として台湾全土の先住民族運動に参画し、1920年代から1940年代にかけて自治と文化保存を訴え続けました。しかし、1949年以降の戒厳令下で「共産主義者」として弾圧され、1958年に投獄中に命を絶たれました。この時代の人権弾圧は「白色テロ」と呼ばれ、多くの思想家や文化人が犠牲となりました :contentReference[oaicite:1]{index=1}。
高一生の長女・高菊花は、本名を隠して1950年代に「パナナ」の芸名でラテン歌手としてデビュー。父の死後、米国留学を断念し音楽の道を選びました。ステージ上では華やかに歌い上げる一方、本国に戻ってからは政府による監視と弾圧を受け、歌手活動を制限されて苦難の時期を過ごしました。展示では当時の舞台衣装写真や録音テープ、関係者の証言映像などが公開されています :contentReference[oaicite:2]{index=2}。
現代に生きる高一生の孫世代もまた、ツォウ族の伝統歌唱やモダン音楽を融合させた演奏家として活躍しています。会場では、孫世代によるオリジナル楽曲のスコアやステージ映像を展示し、祖父が抱いた「自由・自治・文化尊重」という理念が音楽を通じてどのように受け継がれているかを示しています :contentReference[oaicite:3]{index=3}。
これらを通じて、一つの家族が台湾の激動期をどのように乗り越え、人権と文化を守り伝えてきたかを実感できます :contentReference[oaicite:4]{index=4}。
台湾では白色テロの歴史を通じて近代日本統治期から国民党政権時代の弾圧が語られにくかったものの、1990年代以降の民主化運動で被害記憶の掘り起こしと補償が進められてきました。本展は、ツォウ族という少数民族の視点から人権弾圧と文化抑圧の歴史を再考する機会を提供します。また、原住民文化の多様性と創造性を音楽作品を通じて紹介することで、現代社会における多文化共生や人権尊重の大切さを訴えます :contentReference[oaicite:5]{index=5}。
海外では米国先住民やオーストラリア先住民の公的弾圧と文化抑圧の歴史展が行われ、被害者の証言や音楽・アートを通じて解放と和解のプロセスを可視化しています。日本国内でも沖縄戦やアイヌ民族の歴史を題材とした展覧会が開催されており、特定コミュニティの記憶を社会全体で共有する動きが広がっています。
会場:台湾文化センター(東京都港区虎ノ門1-1-12 虎ノ門ビル2階)
会期:2025年5月19日(月)~7月23日(水)
開館時間:平日10:00~17:00(イベント時は土日祝も開館)
入場料:無料
「台湾人権と音楽の継承―高一生、三世代が紡ぐ家族の歌」は、白色テロの歴史を背景に、先住民族ツォウ族の一族が音楽を通じて人権と文化を守り抜いた物語です。手紙や映像、楽譜など多彩な展示資料から、台湾の苦難の歴史を深く理解するとともに、音楽がもたらす癒しと共生の力を体感できます。ぜひ足をお運びください。
コメント:0 件
まだコメントはありません。