古米や古古米の味や香りへの関心度はどれくらいですか?

古米や古古米の味や香りへの関心度はどれくらいですか?

2025/05/31 (土曜日)

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古米や古古米は、新米と比較して味や香りが劣るという意見もありますが、手頃な価格で消費者に選択肢を提供できるとして注目されています。あなたは古米や古古米の味や香りに対してどれくらい関心がありますか?

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古米・古古米の味や香りへの関心度・はじめに

日本では一年以上前に収穫されたお米を「古米(こまい)」、さらに複数年保存されたものを「古古米(ここまい)」と呼びます。新米に比べ、保存期間が長くなるほどデンプン質の変化や水分量の減少が進み、味や香りの特徴が変化します。本稿では、古米・古古米の味や香りに対する関心度を、一般消費者・料理関係者・研究者などの視点を交えながら約2,500字程度でまとめて解説します。

1. 古米・古古米の定義と分類

古米は、収穫から1年〜2年程度保存されたお米を指し、古古米はそれ以上、例えば2年以上保存されたものを指すことが一般的です。保存状態や温度管理によって品質の劣化速度は異なりますが、乾燥状態が適切であれば数年程度は食用として問題がないとされています。農家や精米業者の間では、在庫調整や需要の波を緩和する目的で適度に古米を流通させることがあります。

2. 保存によるデンプン質・水分の変化

新米は収穫直後に含水率が高く、デンプンの「アミロース」と「アミロペクチン」の割合や構造が若いため、炊き上がりの「もっちり感」や甘みが強く感じられます。一方、古米になると、米粒内部のデンプン質が徐々に結晶化し、水分もわずかずつ蒸発して含水率が下がります。その結果、炊飯時に水が内部へ浸透しにくくなり、炊き上がったご飯の粘り気が弱まり、粒がぱさつく印象を受けます。さらに古古米では、デンプンの劣化がさらに進み、米粒内部に微細なひび割れが生じることもあり、炊き上がりの食感がさらに硬くなります。

3. 味の変化とその評価

古米・古古米の味は、新米に比べて甘みや旨みが穏やかになります。具体的には、デンプンが分解されて還元糖(ブドウ糖や麦芽糖など)に変わりにくくなるため、炊飯後に感じる「自然な甘味」が減少します。また、タンパク質や脂質の酸化が進むと、ご飯全体の風味にわずかな「酸味」や「渋み」が生じることがあります。これらの味の変化は、新米のもっちりとした食感や香りを好む消費者からは敬遠されがちですが、逆に料理の素材として、特定の料理ジャンルでは評価されることもあります。たとえば、古米は雑穀米や炊き込みご飯、リゾット、リパッソなど、しっかりとした粒立ちが求められる料理に使いやすいとされ、料理専門家や飲食店では一定の需要があります。

4. 香りの変化とその評価

新米には「ピラジン」と呼ばれる香り成分が豊富に含まれており、炊飯時には独特の芳香(「新米の香り」)が立ち上ります。これにより、香り高く食欲をそそるご飯になります。古米になると、ピラジンをはじめとする香り成分が揮発・分解されて減少し、代わりに「フリー脂肪酸」や「パルミチン酸」などの分解産物が増える場合があります。すると、新米のような爽やかな甘い香りは弱まり、ご飯全体の香りが淡泊になったり、わずかに「酸化臭」「古米臭」と表現される香りが感じられる場合もあります。古古米ではさらに香り成分が減少し、ほとんど無香に近い状態になることがあります。

5. 消費者の関心度と意識調査

市場調査によると、一般消費者の約8割以上が「ご飯は新米を食べたい」と回答しており、古米・古古米に対して高い関心を持つ人は少数派です。特に都市部の若年層ほど「香りや食感に敏感」なことがわかっており、新米の鮮度や香りを重視する傾向があります。一方、地方在住者や高齢層では、「多少古い米でも安ければ構わない」「調味料やおかずでカバーできる」という意見が散見されます。

料理人や調理師会の調査では、古米を「カレー・炒飯・リゾット」など水分量や味付けを工夫すれば問題なく使える素材と捉える傾向が強く、とりわけ業務用の大量調理ではコスト削減や在庫管理の観点から年数の経った米が好まれるケースがあります。ただし、「寿司」や「おにぎり」などの香りや食感が直接味に響く料理には、古米は避けられることがほとんどです。

6. 古米・古古米を好む消費者層

① 節約志向層: 家計を重視し、安価な食材を求める消費者。古米は新米よりも数割安く購入できることが多いため、コストパフォーマンスを重視する家庭や一人暮らしの学生・単身世帯で一定の支持を得ています。
② 業務用調理関係者: 飲食店や社員食堂、給食センターなどの大量炊飯現場では、安定供給と価格の安さを優先し、新米だけでなく古米を混ぜて使うことが一般的です。特に、炊き込みご飯やカレーでは香りや甘みが目立たないため、古米でも問題視されません。
③ 伝統食品・発酵食品の製造者: 日本酒や味噌、醤油の醸造では、古米や古古米が適度に乾燥し、水分量が安定していることから、麹づくりや発酵過程で扱いやすいとする蔵元があります。麹菌の培養に用いる際、新米よりも硬い古米のほうが菌糸が内部に侵入しにくく、温度管理や水加減がしやすいといった意見もあります。
④ 食文化・郷土料理の愛好家: 地域によっては、伝統的に秋に収穫された米を年明けから春先まで少しずつ食べる習慣が残っており、古米を「味が落ち着いた良い米」と評価する場合があります。特に寒冷地では保存期間が長くても品質が比較的維持されたり、鴨鍋やおくどさん(かまど)で炊いたお米のように、古米ならではの“気泡”が立ちやすいといった特徴を好む声があります。

7. 古米・古古米の活用例と提案

① カレー・シチュー: 水分を多めにして炊けば、パサつきが気になりにくく、ルーのコクと調和しやすいです。コクのある料理に合わせると、あえて古米をブレンドすることでコストを抑えつつ、食感のバランスを取ることができます。
② 炊き込みご飯・雑炊: だしや調味料を多めに使い、水分を調整すれば、古米特有の硬さを和らげられます。具材の味がメインとなるため、古古米でも十分に対応可能です。
③ 洗いご飯(ジューシー/ジューシィ)やリゾット: 米粒が水分を吸収しやすく、その後煮込む料理では、古米の「煮崩れしにくい」特性が有利に働きます。具材のうま味が染み込みやすく、食感にアクセントがつきます。
④ 日本酒・甘酒の醸造: 古米は麹づくり用として使われることが多く、清酒醸造では古古米を割り米として用いることで、酵母の発酵が安定すると評価される場合があります。
⑤ おにぎり・寿司とは対照的に: 寿司飯やおにぎりに向かないというイメージがありますが、塩むすびや俵おにぎり、古米を使った「おこわ」などでは逆に独特の食感が好まれることもあります。

8. 関心度が高まる背景と今後の展望

近年、食品ロス削減やフードマイレージの観点から、古米・古古米を上手に活用しようという動きが広がっています。行政や農協、飲食店が協力して「古米レシピコンテスト」「古米フェス」などのイベントを開催し、古米を使った創作料理や地産地消メニューの普及を図っています。こういった取り組みは、一般消費者の関心度を向上させると同時に、農家の在庫圧縮にもつながるメリットがあります。

また、クラウドファンディングやECサイトで「古米セット」を企画し、年間契約で届けるサービスも増加傾向です。生産者直販の形で情報発信を行い、古米の美味しさや使い方を丁寧に説明することで、従来の「古米=まずい/無難に使うもの」というイメージから脱却し、あえて古古米を選ぶグルメ層やフードロスに敏感な若年層の関心を喚起しています。



9. まとめ

古米・古古米の味や香りへの関心度は、一般には新米ほど高くありませんが、「コストパフォーマンスを重視する層」「業務用調理の現場」「発酵・醸造に携わる事業者」「郷土料理の伝統を継承する地域コミュニティ」など、ニッチな層ではむしろ積極的に評価されるケースがあります。さらに近年では、食品ロス対策の観点から古米を使ったレシピ開発や情報発信が活発化しており、消費者の理解や興味は以前より高まりつつあります。

今後は、食生活の多様化やエシカル消費(倫理的消費)の広がりに伴い、「古米をあえて使うメリット」「古古米ならではの食感や香りの特性」をもっと訴求していくことで、従来の「古米=二次的な選択」というイメージを刷新できる可能性があります。消費者アンケートやSNSでの情報発信、飲食店・食品メーカーのメニュー開発などを通じて古米の魅力を広めることで、古米・古古米への関心度はさらに高まっていくでしょう。

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  • NO.74 ななしさん
  • 2025/06/01 18:50:34
  • 評価: 普通
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