参政党と保守党「岩盤保守受け皿」参院選予測、小泉「化けの皮」はがれ自民苦境 高橋洋一
2025/06/28 (土曜日)
東京都議選で自民党は大敗した。自民党から離れた「岩盤保守層」の受け皿となっている参政党(神谷宗幣代表)は都議選でも躍進したが、どういう点が有権者に支持されているのか。参院選(7月3日公示、20日投開票)でも躍進する可能性はあるか。もう一つの保守層の受け皿といえる日本保守党では、参院選比例代表に百田尚樹代表が出馬表明した。前回衆院選のような勢いを取り戻すことができるのか。
2025年6月28日付産経新聞は、7月の参議院選挙に向けて、参政党と日本保守党が「岩盤保守層」の受け皿として存在感を強めており、自民党がかつての小泉進次郎氏の人気に頼る「化けの皮」が剥がれつつあると報じた(出典:産経新聞2025年6月28日)。
参政党は2020年4月に結党され、2022年の参院選で比例代表区から1議席を獲得し政党要件を満たした新興政党だ。創設以来、ネット動画や街頭演説で急速に支持を広げ、保守層の「不満票」を取り込んでいる。中核を担う神谷宗幣参院議員は、教育改革や反グローバリズムを掲げる一方、新型コロナ対応ではマスク・ワクチン政策に批判的な姿勢を取り、既存政党に不信感を抱く有権者に訴求してきた。
日本保守党は2023年10月に百田尚樹氏や有本香氏らが立ち上げた保守系政党で、国体尊重や伝統文化保護、対中強硬姿勢を打ち出す。2024年11月の衆院選では比例代表で一定の得票を集め、国政政党としての認可を受けた。参院選では地方区への複数候補擁立を計画し、「本当の保守」を求める層への働きかけを強めている。
自民党内部では、長年「岩盤保守」と呼ばれる高齢層や地方の保守的有権者を支配的に取り込んできた。しかし近年、政権の経済政策への批判や人事に対する不満が広がり、参政党や保守党に流出する兆しが顕在化。特に「小泉進次郎劇場」とも揶揄されたポピュリズム的手法への反発が、支持率低下を加速させているという指摘もある。
評論家・高橋洋一氏は、都議選での「都民ファーストの会」躍進が参院選にも波及すると分析。その中でも参政党の支持率は3%前後、日本保守党も1~2%を固めると予測し、両党合わせて数議席を確保する可能性を示唆している。これにより自民党は補完勢力の公明党を含めても過半数確保が一層厳しくなる見通しだ。
過去にも自民・公明に対抗する第三極として、民主党(旧民進党)や維新の会が台頭した例がある。民主党は2009年に政権交代を果たしたが、分裂・再編を経て勢いを失った。維新は地方政党から国政へ拡大し、一時は野党第1党に躍進した。参政党・保守党はSNSを駆使した組織化や「既得権批判」を軸に展開しており、旧来の第三極とは異なる支持拡大モデルを示している。
7月の参院選では、自民党が補完勢力と合わせて安定多数を維持できるかが最大の焦点となる。参政党・保守党がそれぞれ地方区で当選ラインに届けば、与野党構造はさらに複雑化し、政策協議や国会運営における駆け引きが激化する可能性が高い。既存政党に対する「保守の受け皿」としての第三極の立ち位置が定着するか否かが、今後の日本政治の行方を左右すると言えるだろう。
参政党と日本保守党は、自民党の中核支持層に食い込み、「岩盤保守」の受け皿としての地位を固めつつある。ネット発信力やポピュリズム的戦術を武器に、従来型の保守結集モデルを揺るがしかねない勢いを見せており、自民党は選挙対策の再構築を迫られている。7月の参院選では、両党の議席獲得が自公与党の安定多数確保を難しくする一方で、国会における保守思想の多様化を促す契機ともなり得る。参政党・保守党の今後の動向は、自民党にとっても最大の警戒材料であり、与野党を問わず全政党が注視すべき事態と言える。
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