ネットの中傷対策提唱、加害者に高額な賠償金課す みんなでつくる党が参院選公約発表

ネットの中傷対策提唱、加害者に高額な賠償金課す みんなでつくる党が参院選公約発表

2025/07/02 (水曜日)

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公約は、ネット空間を「『治外法権』の状態にある。匿名性は表現の自由を守る一方、悪意の隠れ蓑になっている」と指摘。事業者の通信履歴(ログ)の保存期間を1年以上に延長する法整備を推進するとした。

被害者を孤立させないため、全国の警察間で被害情報を一元化するデータベースの構築を提起。米国の制度を参考に、加害者に対し高額な賠償金を課す仕組みの導入も記した。

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ネット誹謗中傷根絶に向けた三大制度改革──匿名性の是正から加害者責任強化まで

インターネット上の誹謗中傷は、「治外法権」と化した匿名空間で拡散し、被害者の心身を深く傷つける社会問題となっている。みんなでつくる党は、匿名性を悪用した責任逃れを防ぎ、被害者を孤立させない支援体制と、米国流の懲罰的賠償を導入する三つの柱から成る制度改革を公約に掲げた :contentReference[oaicite:0]{index=0}。

1.匿名による「無法地帯」状態の是正

現行制度では、投稿者の身元開示に半年以上かかり、IPログは約3か月で消失。被害者は泣き寝入りを余儀なくされる場合が多い :contentReference[oaicite:1]{index=1}。そこで:

  1. 開示請求のワンストップ化とプラットフォームへの個人情報登録義務化
  2. 事業者によるログ保存期間の法定延長(現行3か月 → 1年以上)
  3. 開示協力義務化と違反時の罰則強化

2.警察横断的な被害情報の一元化

被害者が複数署に相談しても情報が共有されず、加害者が各地で再犯を繰り返す事例が後を絶たない。米国FBIのNCIC(National Crime Information Center)は1967年設立の全国警察共通データベースとして機能し、24時間365日利用可能で犯罪・被害情報を一元管理する :contentReference[oaicite:2]{index=2}。これを参考に、全国の警察署間で被害情報を統合するデータベースを構築し、迅速な捜査と再発防止を図る。

3.被害者支援の経済的・手続き的負担軽減

告訴状作成の弁護士費用や、名誉毀損罪の告訴期限(現行6か月)の制約で泣き寝入りが多発。これを解消するため:

  • 法テラスの無料相談・弁護士費用補助を刑事告訴にも拡大
  • 告訴期間の延長(現行6か月 → 1年以上)
  • 反SLAPP法の制定による恫喝訴訟の抑止

4.海外のログ保存制度比較

欧米各国では、テロ対策や犯罪捜査の観点から通信ログ保存を義務化している:

  • 英国:2016年IP法(Snooper’s Charter)でプロバイダに12か月間のインターネット接続記録保存を義務付け :contentReference[oaicite:3]{index=3}。
  • オーストラリア:2015年メタデータ保存法で通信事業者に2年間の保存義務を課す :contentReference[oaicite:4]{index=4}。
  • EU(GDPR):原則として目的達成に必要な期間のみ保存を許容、定められた最低期間はないが、法令で規定がある場合は遵守 :contentReference[oaicite:5]{index=5}。

5.米国流「懲罰的損害賠償」の導入

米国では、実際の損害を超えた懲罰的賠償(punitive damages)が認められ、悪質な誹謗中傷への抑止力となっている。例えば、2016年にネバダ州連邦裁で約38.3万ドル(約5,000万円)の賠償が認められた事例がある :contentReference[oaicite:6]{index=6}。これを参考に、国内でも悪質加害者に高額賠償金を課す枠組みを法制化する。

6.制度導入に向けた法的課題と調整

ログ保存延長や懲罰的損害賠償は、プライバシー権や表現の自由との調整が不可欠。事業者の負担軽減策や、被害者保護と権利保障の両立を図るため、以下の視点で法案を設計する必要がある:

  • 保存データのアクセス制限と監査体制
  • 名誉毀損の定義や証明基準の明確化
  • 被害者の同意に基づく個人情報保護強化

まとめ

みんなでつくる党が提唱する誹謗中傷防止策は、匿名性の制御、ログ保存延長、警察間データ連携、被害者支援強化、懲罰的賠償の五大柱から成る包括的改革である。英国や豪州の通信ログ保存制度、米国のNCICや懲罰的賠償制度に学びつつ、プライバシー権や表現の自由との調和を図ることが必要だ。法改正により加害者に高い法的リスクを課し、被害者を孤立させない体制を整備することで、ネット空間を「安心して声を上げられる場」へと変えていくことが望まれる。

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