川口市「治安が悪い」市民の5割が感じる 前年から2割増、20代女性は7割 市意識調査 「移民」と日本人
2025/06/07 (土曜日)
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埼玉県川口市民の約半数が「治安が悪い」と感じ、昨年度に急増したことが市の市民意識調査からわかった。過去10年間は20~30%台だったが、令和6年度は49%に跳ね上がった。同市は全国の市町村で最も外国人が多く、今月1日時点で人口の8・3%を占める。外国人の増加に伴う体感治安の悪化が国会や地方議会で懸念されてきたが、データで裏づけられた形だ。
埼玉県川口市の最新の市民意識調査によると、令和6年度(2024年度)に「市の治安が悪い」と感じた市民は49.4%に達し、過去10年間の20~30%台から急激に上昇しました。この調査結果は、同市が全国の市町村で在留外国人の比率が最も高い(令和6年5月時点で8.3%)という特徴と併せて、住民の「体感治安」悪化を裏付けるデータとして注目されています。本稿では、調査結果の概要に始まり、人口動態や在留外国人比率の推移、実際の犯罪統計とのギャップ、外国人住民の背景、行政による治安対策までを、歴史的・制度的背景を交えながら解説します。
この意識調査は、川口市総合計画に基づき無作為抽出した5,000人に対し郵送で実施。令和6年6月1日~20日に回収率37.5%で1,873件の有効回答を得ました。「市の良くないところ・嫌いなところ」を尋ねた設問で、「治安が悪い」と回答した割合は49.4%にのぼり、特に20代女性では70%を超えています。過去10年間は調査ごとに20~30%台で推移していましたから、市民の不安感が急増していることがうかがえます。:contentReference[oaicite:0]{index=0}
川口市の総人口は約60万7,000人(令和7年1月1日現在)。在留外国人数は2023年12月時点で約41,471人(人口比6.4%)でしたが、住民基本台帳制度への外国人登録統合後、2025年5月1日時点では8.3%へと上昇。中国・ベトナム・フィリピン・韓国など多様な国籍の外国人が定住・就労しており、全国の市区町村の中で最も高い割合を占めています。近年はトルコ・クルド系住民の増加も顕著で、在留資格「特定活動」(難民申請中の労働許可)を背景とする事例が問題視されることもあります。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
一方、犯罪統計を見ると、川口市の刑法犯認知件数は令和5年度に4,437件、令和6年中も前年並みで推移しています。埼玉県警察本部のデータでは市内の重要窃盗犯(侵入盗、自動車盗など)は減少傾向ですが、県内全体の刑法犯認知件数は令和6年に5万1,667件(前年比+4.1%)とわずかに増加しました。川口市単独ではわずかな増減にとどまっており、「体感治安」の悪化が必ずしも犯罪発生率の上昇によるものではない可能性が示唆されます。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
実際の犯罪は過去20年で大幅に減少しています。平成16年(2004年)には16,314件を記録していた刑法犯認知件数が、令和5年には4,437件へと3割弱に減少しており、犯罪率自体は改善傾向にあります。しかし、市民意識調査での「治安が悪い」回答は過去最高を更新。人口増加や外国人人口の増加による「見慣れない人々」への不安、加えてSNSで伝播する「再犯ニュース」や「地域コミュニティの希薄化」が、体感治安に大きな影響を与えていると考えられます。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
川口市の外国人住民は中国(23,637人)、ベトナム(4,451人)、フィリピン(2,805人)、韓国・朝鮮(2,699人)と続き、多様な文化・言語集団が共存しています。製造業や建設業などでの就労を背景に定住化が進み、地域経済に寄与する一方、言語障壁や児童の多文化教育、生活習慣の違いなど「共生の課題」も顕在化。行政は多文化共生センターの設置や日本語教室の開講、地域見守り活動を強化しており、住民間の理解促進を図っています。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
これらの取り組みは一定の成果を上げつつありますが、体感治安の改善には「地域ぐるみの見守り文化」の醸成と、犯罪被害情報を適切に共有する仕組みが不可欠です。
川口市が「安全・安心のまち」として再評価されるには、以下の視点で施策を強化する必要があります。
川口市民の約半数が「治安が悪い」と感じる背景には、在留外国人の増加や地域コミュニティの変化、SNSを通じた情報過多があります。しかし実際の犯罪件数は過去20年で大幅に減少しており、統計上の治安は改善傾向にあります。今後は、体感治安と実態のギャップを埋め、多文化共生を推進しつつ、防犯インフラと住民参加を融合した「共に守るまちづくり」が求められます。
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