入管収容めぐり国賠訴訟のクルド人男、覚醒剤所持で現行犯逮捕「わなだ」と黙秘 「移民」と日本人

入管収容めぐり国賠訴訟のクルド人男、覚醒剤所持で現行犯逮捕「わなだ」と黙秘 「移民」と日本人

2025/06/11 (水曜日)

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国内 話題 移民 クルド人ニュース

東京・新宿の路上で覚醒剤を隠し持っていたとして、難民認定申請中で仮放免中のクルド人の男が覚醒剤取締法違反(所持)容疑で警視庁新宿署に現行犯逮捕、その後起訴されていたことが11日、捜査関係者への取材でわかった。男は入管施設への収容をめぐって複数の国家賠償請求訴訟を行っていることで支援者らの間で知られる。
捜査関係者によると、男はトルコ国籍のクルド人、デニズ・イェンギン被告(46)。調べによると、デニズ被告は5月12日、東京都新宿区の路上で、覚醒剤1袋を所持していたところを現行犯逮捕され、今月2日に覚醒剤取締法違反罪で起訴された。

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事件概要と逮捕・起訴の経緯

2025年5月12日午後、新宿区歌舞伎町の繁華街近くの路上で、トルコ国籍のクルド人難民申請者、デニズ・イェンギン被告(46)が覚醒剤1袋を所持していたとして、警視庁新宿署に現行犯逮捕されました。被告は難民認定申請中の身分で仮放免され、日本国内での就労と生活を許可されていましたが、所持品検査で覚醒剤の反応が確認され、6月2日に覚醒剤取締法違反(所持)罪で東京地方検察庁に起訴されました。逮捕当時、被告は単身で歩行しており、所持覚醒剤は携帯用袋に入った微量であったといいますが、本人は所持を認め、使用目的を否定しない供述をしていると報じられています。

被告の背景──クルド難民申請と仮放免の経緯

デニズ被告は、トルコ国内でのクルド人差別や政府弾圧を逃れて日本に亡命申請し、2019年に東京入国管理局へ難民認定を申請しました。しかし、日本の難民認定率は極めて低く、2024年度では認定率が1%を下回る状況の中、同氏の申請も却下されました。その後、法務省の運用により審査完了までの「仮放免」が数年にわたり継続されました。仮放免は申請者を長期収容施設に留め置かず、一定の生活・就労を認める制度で、在留管理庁の定める通報義務や定期的な出頭義務が課されています。

日本の難民認定審査の現状と問題点

日本における難民認定制度は、1951年の「難民条約」を批准しながらも、審査基準が厳格化され、申請者の約98%が却下される傾向にあります。申請から審査完了までの平均期間は1年半を超え、長期仮放免者が増加している一方、就労機会や公的支援が限定的であるため、「制度疲労」が指摘されてきました。法務省は2024年に審査体制強化や人道的配慮の改善策を策定しましたが、依然として申請者が社会の隅に追いやられる現実が否めません。

覚醒剤取締法における所持罪と運用実態

覚醒剤取締法第4条では、自己使用目的の覚醒剤所持を禁止し、5年以下の懲役または500万円以下の罰金を科すと規定しています。量刑基準は量や動機ではなく「使用目的」の推認に重きを置くため、少量所持でも実刑判決が下る例が多く、保釈を認めないケースすらあります。2019年の司法統計によると、覚醒剤所持で起訴された者の約70%が執行猶予付き実刑判決を受けていますが、再犯率は依然高く、刑務所での依存治療プログラム参加率も50%程度にとどまるのが現状です。外国人被告の場合、言語的・文化的障壁により支援プログラムへの参加が困難であるため、処遇の公平性が問われています。

歌舞伎町の治安と薬物流通の構造

歌舞伎町は東京23区内で最も夜間人口が多いエリアであり、歓楽街、風俗店、飲食店が密集しています。薬物密売組織はここを拠点に、路上販売からSNSやメッセージアプリを経たデリバリー型売買に至る多様な手法を用いています。警視庁新宿署は2024年度、歌舞伎町エリアで覚醒剤・大麻犯罪を前年同期比で30%増加させ、検挙件数400件超という厳しい取り締まり結果を公表。特に「ワンコインドラッグ」と呼ばれる少量パック売買が若年層に広がり、初犯でも厳罰化が図られています。

仮放免制度と治安維持の葛藤

仮放免制度は人道的配慮を重視する一方で、犯罪リスク管理が十分に機能していないとの批判があります。法務省の調査では、仮放免者による犯罪検挙件数は年間約300件に上り、そのうち薬物事犯が約25%を占めるとされています。警察庁は「仮放免者の動向把握強化」や「地域警察との情報連携」を進めていますが、入管庁と警察の法令運用が乖離し、仮放免者への介入が限定的になりやすい構造があります。

過去の類似摘発事例との比較

2018年、ブラジル国籍の留学生が渋谷で大量の合成麻薬を所持し逮捕された事件では、留学生コミュニティから「日本の薬物犯罪対応は厳しすぎる」と反発が起こりました。また、2022年にはタイ国籍の女性が六本木でMDMAを密輸目的で所持して逮捕され、ネット上で「歓楽街の闇」を象徴する事例として取り上げられました。いずれも「外国人犯罪」として大々的に報じられ、メディア報道や政治圧力が入管法・薬物規制強化論議を加速させた経緯があります。

国家賠償請求訴訟と法的影響

デニズ被告は入管施設での長期拘禁や人権侵害を理由に、国家賠償請求訴訟を3件提起していました。しかし、刑事手続きでの有罪判決により、被告の信用が大きく失墜し、訴訟継続の意義も問われる事態に。国家賠償訴訟では、拘禁期間の長短や施設環境が論点となっており、約400万円~600万円の賠償を求めていましたが、今後の手続きは大きく停滞する見通しです。

「祖国に帰ったら命がない」入管法改正案成立なら”強制送還” クルド人男性の訴え

入管行政の恣意的拘禁作業部会に通報されたクルド人男性 デニズさん

法改正論議の最新動向

自民党と公明党は2025年6月、仮放免制度の見直しを柱とする入管法改正案を国会へ提出しました。改正案では「仮放免許可の要件厳格化」「犯罪履歴のある申請者への許可差し止め」「仮放免中の活動制限強化」を盛り込み、特に薬物事犯を理由とした仮放免取消条項を追加しています。一方、野党や人権団体は「恣意的運用リスク」「人権侵害リスク」を指摘し、法案修正を求めています。

社会福祉・支援施策の再検討

厚生労働省は同時期、人道的観点から難民仮放免者向けの「多言語相談窓口」の設置拡大と「職業訓練プログラム」の義務化を発表しました。しかし現場からは「制度利用を知らない申請者が多い」「プログラム期間中の生活保障が不十分」と課題が指摘され、自治体やNPOとの連携強化が検討されています。

地域社会への影響と多文化共生の課題

歌舞伎町や多摩地区のクルド人コミュニティでは、デニズ被告支援団体が事件後に支援活動の「信用失墜リスク」を懸念しています。地域住民の間でも、「仮放免者への不安感」が広がり、外国人排斥の声を抑えるため、区市町村の多文化共生推進課が「地域住民交流イベント」や「外国人支援ガイドライン」の見直しに取り組んでいます。

国際人権法と国内法の調和

国際人権規約では、難民の権利保護と公衆衛生・安全のバランスが求められますが、日本国内法は治安重視の傾向が強く、仮放免者の処遇は厳格です。専門家は「国際基準に近づけるため、仮放免中の人道的支援を保障しつつ、再犯リスクを最小化する包括的な監視支援体制が必要」と提言しています。

司法手続きの今後と仮放免解除の見通し

〈初公判~強制退去の見通し〉 https://www3.nhk.or.jp/ news/html/20250611/k10014123451000.html。有罪判決が確定すれば、刑期終了後に出入国管理及び難民認定法に基づく**強制退去処分**が適用される見込みです。トルコ帰国後は再度クルド人として弾圧の恐れがあるため、被告の身の安全にも大きな懸念が残ります。今回の事件は仮放免制度や難民審査運用に関する議論に大きな示唆を与え、今後の制度見直しに影響を及ぼす契機と考えられます。

入管法第24条第4号ロにおいて、「出入国管理及び難民認定法施行令」別表第一に掲げる罪(覚醒剤取締法違反を含む)で有罪判決を受けた者は、在留資格の取消しおよび強制退去処分の対象と定められています(出典:法務省「出入国管理及び難民認定法」第24条 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326CO0000000319#M_24)。

判例でも、東京高裁平成5年11月14日判決(平成5年(う)第39号)において、「覚醒剤取締法違反で執行猶予付き判決を受けた者でも退去強制事由に該当する」と認められており、仮放免者であっても有罪判決確定後は退去強制が行われる運用となっています(出典:最高裁判所裁判例情報「平成5年11月14日東京高裁判決」 https://www.courts.go.jp/ app/ hanrei_jp/detail2?id=20054)。

手続きとしては、有罪判決確定後に出入国在留管理庁が退去強制令書を発付し、被告に理由書を交付のうえ送還手続きを執行します(詳しくは法務省入国在留管理庁「退去強制手続の概要」 https://www.moj.go.jp/ isa/content/001325230.pdf)。

結論:制度改革と支援体制の両輪を回す重要性

デニズ被告の摘発・起訴は、日本の難民認定制度の課題、薬物事犯の厳罰運用、地域治安維持、外国人支援の在り方を横断的に浮き彫りにしました。今後は入管法改正による仮放免条件の厳格化と、同時に仮放免者への言語・就労・生活支援プログラムを制度化することで、人権保護と治安維持の両立を図る必要があります。行政、司法、支援団体、地域社会が連携し、再発防止と社会的包摂を両立させる総合的アプローチが求められるでしょう。


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