東京都議選の無所属・吉永藍候補、Xで名誉毀損受けたとして投稿者を告訴
2025/06/19 (木曜日)
告訴状によると、都議選が告示された13日、選挙ポスターの写真データに何者かが落書きしてXで公開したほか、15日には別のアカウントから吉永氏のXに対し、共産党とのつながりを示す書き込みがあった。
吉永氏は告訴状で「画像は削除されたが既にリポスト(転載)され『デジタルタトゥー』は消えない。共産党とは接点がなく、全くの虚偽だ」としている。
2025年6月13日、都議選が告示された直後に、立候補者である吉永氏(仮名)がX上で根拠のない「共産党とのつながり」を示す書き込みや、選挙ポスターの写真データへの落書き被害を受け、告訴に踏み切りました。ネット上に一度流れた情報は瞬く間にリポストされ、「デジタルタトゥー」として被害者の社会的評価を永続的に傷つけます。本稿では、今回の事案の経緯と背景、国内外の類似事例、デジタル空間における誹謗中傷対策の現状と課題、そして選挙の公正を守るための法制度や運用の改善策を多面的に解説します。
告訴状によれば、13日深夜に何者かが吉永氏の選挙ポスター写真に党マークや罵詈雑言を書き込んだ画像をXで公開。15日には別アカウントから「吉永氏は共産党とつながっている」など虚偽の書き込みが行われました。画像はすぐに削除されたものの、拡散が止まらず、有権者からの誤解や批判が殺到。吉永氏は「事実無根の中傷が選挙活動を妨害し、支持基盤を不当に毀損された」として選挙妨害と名誉毀損で告訴・告発しました。
インターネット上の投稿は一度拡散すると完全な削除が難しく、履歴として永遠に残り続けます。これを俗に「デジタルタトゥー」と呼び、被害者の社会的信用や精神的健康に深刻な影響を及ぼします。公人・立候補者の誹謗中傷は選挙の公正を損なうだけでなく、民主主義の根幹である表現の自由や選択の自由そのものを侵害します。
過去には、2019年の統一地方選でSNSに根拠のない選挙違反疑惑を拡散したグループが逮捕・起訴されました。また米国では2016年の大統領選で偽情報拡散が調査対象となり、ソーシャルメディア運営企業が規制強化に動きました。日本では2023年改正刑法で「威力業務妨害罪」の適用例が増え、被害者が警察に相談しやすい体制が整備されていますが、発信者特定の難しさや捜査の遅れが依然として課題です。
現在、プロバイダー責任制限法により、被害者は情報削除請求や発信者情報開示請求が可能です。しかし手続きには一定のコストと時間がかかり、選挙期間中の迅速対応には不十分です。インターネット監視体制やAIによる自動検知の整備が進む一方、偽アカウントの摘発や投稿抑止の法律運用が後手に回るケースもあります。
吉永氏への虚偽中傷事件は、ネット社会における選挙妨害の危険性を如実に示しました。デジタルタトゥーによる被害を防ぎ、公職選挙の公正性と有権者の信頼を確保するためには、制度・技術・教育の三位一体での対策強化が急務です。民主主義の根幹を支える選挙が、正しい情報に基づく自由意志の表明の場であり続けるよう、社会全体で取り組みを進める必要があります。
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