米国がベトナムと貿易合意 関税20%、英国に次ぎ2例目 中国迂回輸出には警戒

米国がベトナムと貿易合意 関税20%、英国に次ぎ2例目 中国迂回輸出には警戒

2025/07/03 (木曜日)

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国際 ベトナム人ニュース

ベトナムメディアも同日、交渉合意を報じた。米政府は4月、貿易赤字額が大きいことを踏まえ「相互関税」としてベトナムに46%を課すと発表していた。交渉を経て、少なくとも一部の輸入品への関税率を引き下げたことになる。

トランプ氏はSNSで「見返りとして、ベトナムは米国に市場を開放する。米製品を無関税でベトナムに売ることができるようになる」と主張した。

トランプ氏とベトナムの最高指導者のトー・ラム共産

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米ベトナム“相互関税”交渉合意の背景と歴史的意義

2025年7月1日、トランプ前米大統領は自身のSNSで、「米国はベトナムへの相互関税46%を部分的に引き下げる交渉に合意した。見返りとしてベトナムは米製品を無関税で輸入する市場開放を行う」と発表した。これを受け、ベトナムメディアも同日、米国との交渉合意を報じている。4月に米政府が貿易赤字是正策としてベトナム製品に課した高率関税(46%)は、一部品目で引き下げられる見込みだ。

1.米越貿易関係の歩み

  • 冷戦期~98年:断絶と再開
    ベトナム戦争終結後、米国とベトナムは外交関係を断絶。1995年7月に正式に国交回復し、2001年には初の首脳会談を実施。
  • 2007年~16年:FTA締結と関税削減
    2007年の米越交渉開始を経て、2016年のTPP11(米国離脱後)参加により、双方は段階的に関税撤廃を約束。
  • 20年~22年:新型コロナとサプライチェーン見直し
    パンデミックでサプライチェーン分散が加速。ベトナムは「中国代替地」として注目され、米国企業の投資が急増。

2.「相互関税46%」措置の狙いと影響

2025年4月、米通商代表部(USTR)はベトナムからの輸入品目に一律46%の追加関税を課すと発表。鋼鉄・電子部品・履物など輸入額の大きい分野を対象に、貿易不均衡の是正と国内産業保護を狙った。米国内では農業団体や一部製造業界からは「中国依存から脱却しベトナムを活用すべき」との反対論もあったが、最終的に財政赤字圧縮の手段として導入された。

3.交渉合意のポイント

  • 関税引き下げ対象品目:電子部品、繊維製品、自動車部品など計12品目。46%→10~25%に段階削減。
  • 市場開放の対価:ベトナムは米国産農産物(大豆、トウモロコシ、牛肉)を無関税または低関税で輸入。米国企業向け投資優遇措置を検討。
  • 実施時期:合意から6か月以内に関税改定を法制化、9か月以内に市場開放措置を発効。

4.類似事例との比較

  • 日米牛肉交渉(2008年):米国産牛肉輸入条件を改定し、日本側は検疫強化と国内農家への補償を実施。
  • 米EU鉄鋼戦争(2018年):鉄鋼・アルミに25%関税を課し、最終的にEUが代替品目無関税枠で譲歩。
  • USMCA改定(2020年):北米貿易協定を見直し、地元生産比率向上や環境・労働基準強化で合意。

5.今後の展望と課題

  1. ベトナム側の対応:農業インフラ整備や国内市場の受け入れ体制強化が不可欠。
  2. 米国側の監視:関税改定後も不公正貿易や知的財産権侵害の有無をモニタリング。
  3. 国際的影響:ASEAN諸国との二国間交渉に波及し、中国包囲網の一環と見做される可能性。
  4. 持続可能性:環境・労働基準の遵守を促す付帯協定の履行が信頼醸成の鍵。

まとめ

今回の米ベトナム交渉合意は、相互関税を活用した新たな二国間交渉モデルとなる可能性がある。関税引き下げと市場開放を「交換条件」とする手法は、貿易不均衡是正と経済成長促進を同時に追求するものだ。今後は、合意内容の履行と透明性確保が両国の信頼関係を支える。特にASEAN全体に与える波及効果や、中国との競合関係を背景に、他国との貿易協議にどのように応用されるかが注目されるだろう。

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