イスラエル イラン核施設なぜ攻撃
2025/06/13 (金曜日)
【緊急解説】なぜイスラエルはイランの核施設を攻撃したのか? ネタニヤフ首相は“自爆覚悟”? “核戦争”のリスクは? 日本経済への影響は?
2025年6月12日深夜から翌13日にかけて、イスラエル国防軍(IDF)は「ライジング・ライオン作戦(Operation Rising Lion)」と名付けた大規模空爆を実施し、イラン中部ナタンツやフォルドーのウラン濃縮施設、テヘラン郊外のIRGC施設など100カ所以上を標的としました。イスラエル側は、イランが60%まで濃縮したウランを保有し、複数の核兵器製造に必要な量を蓄積しているとの情報を踏まえ、「差し迫った核の脅威」を未然に排除するためと説明しています 。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相は声明で、「我が国の存亡を賭けた行動だ。イランが核兵器を手にすれば、ユダヤ人国家の存続はない」と強調し、「必要な限り作戦を続ける」と宣言しました。これには、イスラエル国民へのメッセージだけでなく、国際社会、とりわけ米国への覚悟表明も含まれており、米国内からも「自国民の命を投げ打つ覚悟を見せた」と評されています 。
イラン最高指導者ハメネイ師は直後に「ザイオニスト政権は痛烈な報いを受けるだろう」と公的に報復を宣言し、IRGCも「同等以上の打撃を返す準備がある」と警告しました 。核施設への攻撃は国連憲章51条が認める自衛権の行使と主張される一方、予防的先制攻撃の合法性には国際的な議論が分かれており、地域全体の核衝突リスクを急上昇させています。
この種の先制攻撃は1981年イラク原子炉爆撃(オペレーション・オペラ)以来のもので、「ビギン・ドクトリン」として知られるイスラエルの核拡散阻止戦略に則ったものです。メナヘム・ビギン首相は当時、「後にすれば手遅れになる」と国際社会に警告し、先制攻撃の正当性を道徳的・法的観点から支持しました 。
一連の攻撃は世界の金融市場に即座に波紋を広げ、原油価格が急騰し、株式市場は安全資産へ資金が移動しました。ロイターによれば、原油先物は6%超上昇し、米株先物は約1.5%下落、日本の円やスイスフラン、金への逃避が顕著でした 。日本は中東産原油への依存度が高いため、エネルギーコスト増は消費者物価や企業収益に直接影響を及ぼす恐れがあります。
1973年の第1次石油危機では、原油価格が300%超跳ね上がり、日本の経済成長は一気に停滞、インフレ率は9%に達しました。当時の教訓から、日本は備蓄戦略やエネルギー多角化を推進してきましたが、今回の緊張再燃は、改めてエネルギー安全保障の強化と再生可能エネルギー推進の重要性を浮き彫りにしています 。
イスラエルのイラン核施設攻撃は、「差し迫った存在的脅威」に対する究極の先制行動でしたが、その帰結として中東の全面的軍事衝突や核戦争のリスクを高め、日本を含む世界経済にも重大な波及をもたらしています。今後は、軍事・外交両面での緊張緩和策に加え、エネルギー安全保障と国内経済への影響緩和を同時に進める必要があるでしょう。
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