弁当店の倒産 過去最多ペース
2025/06/08 (日曜日)
「弁当店」の倒産、2025年は過去最多ペース コメ高騰が追い打ち
2025年1~5月に発生した「弁当店」の倒産件数は22件となり、前年同期の21件を上回るペースで推移しています。仕出し弁当や駅弁、テイクアウトを主とする中小の弁当店を対象に、「負債1,000万円以上の法的整理」による倒産を集計したもので、このまま同じペースが続けば2025年は通年で過去最多を更新する可能性が高い状況です。:contentReference[oaicite:0]{index=0}
弁当店にとっての主要顧客である企業の会議・セミナー、法要・冠婚葬祭に伴う大口受注がコロナ後も回復が鈍く、加えてテレワーク定着によるオフィス向けランチ需要の減少が続いています。法人向けを中心とした仕出し弁当や日替わり弁当の商圏は年々縮小し、地元の小規模店では安定的な稼働確保に苦慮しています。
2021年以降の原油価格高騰、円安、国際情勢の不安定化は、鶏肉・食用油・小麦粉などの食材コストを押し上げましたが、なかでも「コメ」の価格上昇は弁当店の採算を直撃しています。2024年秋以降、主食用コメの相場が過去最高レベルに高騰し、1kgあたり600〜700円台と、前年同期比で約2割のコスト増となりました。弁当一食あたり約0.25kgのコメが使用されるため、食材原価率の上昇がそのまま粗利率の悪化につながっています
帝国データバンクの調査によると、2024年度に弁当事業を手がける企業の損益状況は以下の通りでした
状況 | 割合 |
---|---|
増益 | 45.0% |
減益 | 21.7% |
赤字 | 30.2% |
「減益」と「赤字」を合わせた業績悪化割合は51.9%に達し、コメ高騰によるコスト増が中小店の収益力を大きく圧迫。大手チェーンはスケールメリットで価格転嫁を進める一方、地元密着型の店舗は値上げ制限やワンコイン弁当との競合で価格転嫁が困難となり、経営格差が拡大しています。
これらの要因が重なり、店舗運転資金の枯渇と法的整理の申請に至った事例が目立ちます。
一部店舗では、安価な政府備蓄米の導入を検討するものの「新米品質へのこだわり」が多く、導入は限定的。また、盛り付け量の微調整によるコスト抑制や廃棄ロスの削減、スーパーへの外販ルート開拓で新たな収益源を模索しています。しかし、多くの中小店では食材費の上昇分を売価に十分転嫁できず、体力不足が経営継続の大きな制約となっています。
2025年5月末までの22件という倒産ペースが継続すると、通年件数は過去最多を更新する見込みです。弁当店各社は以下の課題に取り組む必要があります:
これらの取り組みが奏功しない限り、弱小店舗の淘汰はさらに進むと予想されます。
コロナ後の需要縮小に追い打ちをかけるように進むコメ価格高騰は、中小の弁当店経営者にとって致命的な打撃となっています。2025年前半だけで22件の倒産が確認され、業界全体の約半数が業績悪化に陥っている現状は看過できません。今後は政府・業界団体・地域社会が連携し、原材料費高騰に対応する支援策やDXによる業務効率化、中小店のビジネスモデル再構築を後押しする環境整備が急務と言えるでしょう。
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