ミスド新商品 売り切れ続出で謝罪
2025/06/10 (火曜日)
ミスタードーナツ、新商品「もっちゅりん」売り切れ続出で謝罪 一部店舗で販売時間や個数を限定して対応
2025年6月初旬、ミスタードーナツが新商品として発売した“もっちゅりん”が大きな話題となりました。もっちりとした食感と程よい甘みを売りにしたこのドーナツは、発売直後から一部店舗での売り切れが相次ぎ、公式サイトや店頭で「販売時間・個数限定」の対応を余儀なくされました。顧客に多大なご迷惑をおかけしたとして、ミスタードーナツは公式に謝罪を発表。今回はその背景と歴史、ヒット商品開発の裏側、販売戦略の現状と課題について、2000文字以上で解説します。
ミスタードーナツは1971年に日本で創業し、アメリカのダンキン・ドーナツと提携しながらドーナツ文化を広めてきました。1980年代にはイートインスペースを備えた店舗展開で急成長し、90年代には1000店舗を超える国内最大手の座を確立。2000年代以降も、カフェドリンクとのセット販売や季節限定フレーバーの導入、健康志向に応えた焼きドーナツなど、常に新商品を投入してきました。
創業当初はアメリカ式のドーナツが中心でしたが、2000年代に入り和素材を活かした「あずきドーナツ」や「抹茶ホイップ」など、和テイストの新商品を積極的に展開。これが若年層や女性客の獲得に寄与し、ドーナツ市場に新たな可能性を示しました。
“もっちゅりん”は、従来のふわふわ系やしっとり系とは異なる「もちもち食感」ドーナツとして企画されました。研究開発部では、グルテンと米粉をブレンドした配合や、独自の発酵技術を導入し、生地の粘りと軽さを両立。さらに、シュガーグレーズとホイップクリームを組み合わせることで、「甘さ」と「軽やかさ」のバランスを追求しました。
試作段階では約50種類の配合パターンを検証し、最終的に塩味の効いたホイップと、酸味を抑えたシュガーグレーズが好評だったため、これをベースに2025年春のメニューとして決定。パッケージデザインは「丸み」を強調し、手にした瞬間に温かみと楽しさを感じられるよう視覚的工夫も施されています。
発売初週からSNSでの口コミが拡散し、特に若年層の間で「SNS映え」ドーナツとして急速に拡散。公式サイトによると、一部大都市圏店舗では午前中に売り切れるケースが相次ぎ、追加生産が追いつかない状況となりました。原因としては以下の要素が挙げられます。
売り切れ店舗が続出したことを受け、ミスタードーナツは対象店舗リストを公式サイトで公表し、「販売時間限定」「1人あたり2個まで」などの個数制限を実施。加えて、早期に並んだ顧客向けに整理券を配布し、混雑緩和を図るとともに、安全管理にも注力しました。
一部苦情として「店頭掲示でしか情報を得られず遠方から来店した顧客が徒労に終わった」との声もあり、デジタル掲示板やアプリ通知による在庫状況リアルタイム配信が求められています。
ミスタードーナツではこれまでにも「ポン・デ・リング」「ハニーディップ」「コットンスノーキャンディ」などヒット商品を輩出しています。ポン・デ・リングは2003年発売以来、もちもち食感を初めて導入しロングセラーとなった一方、大規模プロモーションを伴わないにもかかわらず根強い人気を維持。ハニーディップは1980年代の定番商品として、世代を超えた支持を獲得しました。
“もっちゅりん”はポン・デ・リングの成功パターンを継承し、もちもち食感と新フレーバーによる差別化を図った点で類似していますが、SNS時代の即時性に対応できる生産・物流体制の構築という新たな課題を浮き彫りにしました。
今後の改善策として、ミスタードーナツは以下を検討しています。
短期的な売り切れは「レア感」を高める一方で、「買えない消費者離れ」を招くリスクがあります。顧客ロイヤルティを損なわないために、限定グッズのオンライン販売や、発売1カ月後の再販キャンペーン、定期購入プランの導入など、ファンを継続的に囲い込む施策が求められます。また、公式SNSでの舞台裏動画や開発秘話の公開で、顧客参加型のプロモーションを展開することも有効です。
ミスタードーナツ新商品“もっちゅりん”の売り切れ続出は、ヒット商品の条件とともに、SNS時代の消費行動の変化を示す好例です。今後は生産・物流体制の改善、リアルタイム情報配信、ファンロイヤルティ施策を総合的に強化し、一時的な注目度に留まらない持続的なブランド価値向上を目指す必要があります。
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