中谷潤人TKO勝ち 2団体王座統一
2025/06/08 (日曜日)
【ボクシング】中谷潤人が2団体王座統一、西田凌佑に6回TKO勝利 壮絶打ち合いまさかの結末
2025年6月8日、東京・有明コロシアムで行われたWBC世界バンタム級王者・中谷潤人(27=M・T)とIBF世界バンタム級王者・西田凌佑(28=六島)の2団体王座統一戦は、6回終了TKOという劇的な結末を迎えた。両者とも無敗の日本人王者同士が相まみえる史上初の対戦として注目を集めた一戦の詳細と、背景にある歴史や意義、両者の歩みを解説する。
試合は序盤から両者が右ストレートとパンチの応酬を繰り広げる壮絶な展開となった。特に3回以降は左ボディの打ち合いも交え、観客を沸かせた。しかし6回終了のブザーと同時に西田の右肩脱臼が判明。レフェリーが試合をストップし、中谷がTKO勝利で2団体王座統一を果たした。
会場は立ち見が出るほどの超満員。日本人同士の世界戦という希少性に加え、お互いが無敗というプレッシャーの中で繰り広げられた攻防に、最後まで熱狂的な声援が続いた。
中谷潤人は三重県いなべ市出身。2020年にWBOフライ級王座を獲得し、その後WBOスーパーフライ級、そして2024年2月にWBCバンタム級王座を獲得するなど、3階級制覇を達成。通算31戦31勝(24KO)と負け知らずの戦績で、日本人初の快挙を重ねてきた。
今回の勝利でプロデビューから31連勝となり、国内タイ記録を更新。南原忠士や井岡一翔らが持っていた連勝記録に並び、“無敗のまま階級を超え続ける男”として全国的な注目を集めている。
西田凌佑は奈良県香芝市出身。2024年5月、エマニュエル・ロドリゲスを大阪で破りIBFバンタム級王座を奪取。1度の防衛に成功し、シャープな左右のジャブとステップワークを武器に無敗を維持してきた。
統一戦を前にスパーリングでは南野拓実らトップ選手とのマスボクシングを行い、万全の状態でリングに上がった。しかし当日は序盤から右肩に異常を抱え、6回終了後のストップを余儀なくされた。
バンタム級の国内王者同士による統一戦は史上初。日本人王者2人が世界戦で拳を交えることで、国内ファンの注目度は飛躍的に向上し、草の根レベルのボクシング人気も押し上げる契機となった。
中谷は試合後に「次はスーパーバンタム級で井上尚弥選手との対戦を目指す」と公言。日本人4団体統一王者“モンスター”井上との夢のカード実現に向けて、王座統一は大きなステップとなった。
世界王座の統一はワールドクラスの条件の一つとされ、過去にはシュガー・レイ・レナードやテレンス・クロフォードらが成し遂げている。日本人では井上尚弥がスーパーフライ級、ロマゴン(ローマン・ゴンサレス)との対戦などで注目された。
かつては谷岡弘章、具志堅用高、山中慎介といった名王者がバンタム級を盛り上げたが、二大団体の統一は初。中谷の快挙は日本バンタム級史に新たな1ページを刻む。
中谷は今後スーパーバンタム級への転向を予定。体格的に余裕を持てる新階級で4団体統一を目指し、最終的には井上尚弥とのビッグマッチ開催を視野に入れる。西田も回復次第、バンタム級で再起を図る見込みで、両者の今後の動向から目が離せない。
中谷潤人が西田凌佑に6回TKO勝利を収めて2団体王座を統一した一戦は、日本ボクシング界にとって歴史的事件となった。今後の階級アップと井上尚弥との対決構想を見据え、国内外のファンの期待はさらに高まる。新時代の幕開けを告げる一戦として語り継がれるだろう。
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