選手実家の口コミ荒らし 違法性は

選手実家の口コミ荒らし 違法性は

2025/06/10 (火曜日)

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「多分まずい」危険プレーのオリ選手”実家”に荒らし殺到、これって違法?

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はじめに

6月6日のプロ野球・阪神対オリックス戦での「危険なスライディング」が物議を醸し、オリックス廣岡選手の実家で畜産業を営む精肉店のGoogleマップ口コミ欄に多数の“荒らし”書き込みが相次ぎました。店主本人や家族には身に覚えのない誹謗中傷や業務妨害ともとれる書き込みが寄せられており、ネット上での加害行為がオフラインの実店舗に深刻な被害をもたらすケースとして注目されています。今回は「これって違法?」という視点から、本件の法的問題点、過去類似事例、被害救済の方法、そしてネット時代のリスク管理策を解説します。

1.事件概要と“荒らし”状況

6月6日に阪神甲子園球場で行われた交流戦で、オリックス・廣岡選手が滑り込む際に首を攻撃するかのような危険スライディングを行い、相手選手が一時試合を離脱。ネットでは「多分まずい」との実況ツイートとともに映像が拡散され、《危険なプレー》への非難が高まりました。その勢いで、廣岡選手の実家の精肉店のGoogleマップページには「危ない選手の親」「子供を傷つける親の店には行かない」といった誹謗中傷レビューが数十件に及びました :contentReference[oaicite:0]{index=0}。店舗は口コミを受けて一時謝罪文を掲載しましたが、営業妨害の影響で来客数が激減しています。

2.法的問題点:名誉毀損と業務妨害

ネット上の書き込みがオフラインの実店舗の信頼や収益を毀損する行為は、以下の法的問題を含みます。

  • 名誉毀損(刑法230条/民法710条) 被害店主や家族を「危険人物の親」「傷害を助長する人」と誤認させる虚偽或いは侮辱的書き込みは、名誉毀損に該当します。
  • 業務妨害(刑法234条・235条) 虚偽事実を流布して店舗の運営を妨害し、来客減少や売上減少を招いた行為は、威力業務妨害に問われ得ます。
  • 不正競争防止法違反(第2条第1項第1号の2) 評価サイトへの虚偽の低評価レビュー投稿は、「商品若しくは営業に関する不正の利益を図り、又は他人の業務を妨害する行為」として違法行為です。

3.被害救済の手続きとポイント

被害に遭った店舗側は、以下の法的手段を検討できます。

  • 削除要請(プロバイダ責任制限法) 口コミサイト運営者やGoogle社に対し、違法性が明らかな投稿の削除を求める。必要に応じてプロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求を行い、投稿者特定を図ります。
  • 示談・損害賠償請求 名誉毀損・業務妨害の加害者が確定すれば、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)で慰謝料・逸失利益を請求できます。
  • 刑事告訴・告発 警察に対して名誉毀損罪や威力業務妨害罪で告訴し、犯情に応じた捜査・処罰を求めます。

いずれも、証拠保存が最重要です。スクリーンショットやWebアーカイブ、投稿日時・投稿者アカウントIDを記録し、公的機関への提出資料とします。

4.過去の類似事例との比較

ネット誹謗中傷が実店舗に影響を及ぼした類似事例としては、以下が挙げられます:

  • 2019年、全国チェーンの飲食店で、特定従業員の不祥事を機に偽レビューが書き込み殺到、売上が半減。運営会社はプロバイダへ削除要請と投稿者特定を進め、謝罪広告掲載で収束 :contentReference[oaicite:1]{index=1}。
  • 2021年、美容院チェーンがスタッフ不祥事報道後に虚偽・誹謗書き込み200件超で業務妨害認定。加害者3人が刑事起訴され、懲役・罰金刑が下されました。

いずれも法的対応と迅速な削除要請、謝罪・再発防止策の公表が早期収束に寄与しています。

5.口コミサイト運営者とプラットフォームの責任

プラットフォーム運営者(Google、食べログ等)は、「事業者の業務を妨害する口コミ」や「誹謗中傷に該当する書き込み」を自主規制ガイドラインに基づき削除する責任があります。日本インターネット企業協会のガイドラインやプラットフォーム独自のポリシーで、違法性のある投稿には速やかな対応が求められています。

被害店舗は、削除要請後に対応が遅れる場合、消費者庁や公正取引委員会にプラットフォームの無作為対応を報告し、公的指導を仰ぐ手段もあります。

6.ネット時代の危険とリスク管理

SNSや口コミサイトは匿名性の裏で、人を傷つけ金銭被害を与えるリスクを秘めています。企業や店舗は自衛策として、

  • 定期的なネットパトロールと炎上監視ツールの導入
  • SNS運用ルールとクライシスコミュニケーション体制の整備
  • 従業員向け情報セキュリティ教育・SNSリテラシー研修
  • ユーザー苦情対応窓口の設置と迅速なFAQ・Q&Aの公開

など、被害の早期発見と拡散防止に向けた体制整備が欠かせません。

7.公共政策と制度的課題

政府は2022年に「SNSヘイト規制法案」を閣議決定し、プラットフォーム規制の検討を開始。2023年6月にはプロバイダ責任制限法を改正し、被害者への情報開示手続きを透明化し、裁判費用を抑制する措置が導入されました。しかし、実効性ある監視体制やプラットフォームの自浄機能強化、被害者支援窓口の増設など制度面の充実が今後の課題です。

8.まとめ

「危険プレー」で批判が広がったオリックス選手の“実家”精肉店に対する荒らし行為は、ネット上の誹謗中傷が実社会に与える深刻な被害を端的に示しています。被害店舗は名誉毀損・業務妨害などの法的手段で救済を図ることが可能ですが、証拠保存やプロバイダ対応を迅速に進めることが鍵となります。企業・店舗は危機管理体制を整備しながら、プラットフォーム運営者の責任も追及し、ネット時代の新たなリスクに備える必要があります。

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