姜南周さん死去 韓国の朝鮮通信使研究者 「世界の記憶」登録に貢献 釜慶大元総長
2025/07/02 (水曜日)
1939年、南部の慶尚南道河東出身。報道機関の記者から釜慶大教授を経て2000~04年に総長を務めた。
姜元総長は、世界の記憶登録に向けた両国有識者らの取り組みについて「韓日の未来のために貴重な歴史を継承しようという一つの目的のために、皆が尽力した」と、23年の共同通信とのインタビューで語っていた。(共同)
姜元(カン・ウォン)氏は1939年、韓国南部・慶尚南道河東(ハドン)で生まれた。若き日には地元紙の記者として取材活動に従事し、その後ソウル大で文学博士号を取得。釜山と慶州の2大学で教壇に立ち、学識と現場感覚を兼ね備えた教育者として評価を高めた。
1950~60年代、韓国メディア界は戦後の激動期を迎えていた。姜氏は1959年に地元の慶南日報社に入社し、農村振興や地方自治に関する特別取材班を率いた。取材対象の声を丁寧に紡ぐスタイルは、同僚記者や読者から高く評価された。1968年、ソウル大文学部に進学し、韓国近代文学をテーマに論文をまとめ博士号を取得。
2000年、釜慶大の総長に就任。任期中(2000~04年)に進めた主な施策は以下の通りである:
姜氏は引退後も、韓日両国の有識者と協働し、「世界の記憶」(UNESCO)登録に向けた歴史資料の整理・保存活動を支援した。2023年の共同通信インタビューで、姜氏は次のように語っている:
「過去の苦難を乗り越え、両国の未来につなげるために、貴重な歴史を次世代に残すことが私たちの使命だ。記憶を紡ぐことが、真の和解と共生への第一歩になる」
姜氏の活動は、日韓両国のメディアや学界で高く評価された。特に、日帝時代の記録や従軍慰安婦問題に関する一次資料の保存・デジタルアーカイブ化を推進し、研究者のアクセスを容易にした功績が大きい。日本側の研究者も「姜氏の尽力がなければ、失われかけた地域史が後世に伝わらなかった」と証言している。
1939年生まれの姜元氏は、報道記者から大学教授、そして釜慶大総長へと歩み、韓国の文化・学術界に多大な影響を与えた人物である。退任後は、UNESCO「世界の記憶」登録を通じた歴史継承活動に人生を捧げ、韓日両国の和解と共生を訴え続けた。姜氏の言葉にあるように、過去を正しく記憶し共有することこそが、持続可能な歴史和解の礎となるだろう。その遺した業績は、両国の未来を照らす貴重な灯火として永く語り継がれていくに違いない。
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