特殊詐欺で得た犯罪収益受け取り疑い 山口組系組長と組幹部を逮捕、岐阜県警

特殊詐欺で得た犯罪収益受け取り疑い 山口組系組長と組幹部を逮捕、岐阜県警

2025/07/03 (木曜日)

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逮捕容疑は昨年1月下旬ごろ組事務所で、特殊詐欺で得た犯罪収益を含むと知りながら組員から上納された現金8万円を受け取った疑い。

養老署によると、令和5年に同県養老町で起きた特殊詐欺の捜査で発覚した。

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組員から受領か──特殊詐欺収益8万円上納事件の背景と意味

2025年7月3日、岐阜県警・養老署は建造物侵入容疑などで捜査中だった暴力団組員の男(仮名)が、昨年1月下旬ごろ、同県養老町内の組事務所で、特殊詐欺で得た犯罪収益を含むと知りながら、組員から上納された現金8万円を受け取った疑いで逮捕したと発表しました【出典:産経新聞】。

1.特殊詐欺と暴力団の資金源

  • 特殊詐欺(振り込め詐欺・オレオレ詐欺など)の被害額は年々増加。2024年の全国被害額は約600億円超、認知件数は3万件超にのぼる。
  • 暴力団はこれまで、覚醒剤や密輸、不法賭博などの「裏稼業」に加え、近年は詐欺グループへの資金提供、リクルート役(“受け子”)の手配などで、詐欺被害から得る利益を上納金として吸い上げる構図が明らかになっている。
  • 昨今は、インターネットバンキングや仮想通貨を利用した「非対面型」詐欺が台頭し、暴力団の関与は多様化・巧妙化している。

2.上納金受領事件の経緯

養老署の調べでは、令和5年1月下旬、同町内の暴力団組事務所に多数の組員らが出入りしていた際、組員Xが被害者から詐取された現金の一部を「上納金」として持ち込み、容疑者Yに8万円を手渡したという。特殊詐欺事件の捜査で詐欺グループと組織的つながりが判明し、組事務所への家宅捜索で証拠を押収、上納行為が裏付けられた。

3.類似事例との比較

  • 静岡県警摘発(2023年):電話de詐欺で得た200万円を組事務所で上納金として渡した暴力団員2人を詐欺利益収受罪で逮捕。
  • 大阪府警捜査(2022年):フィッシング詐欺から得た3000万円を複数回に分けて上納し、組長ら3名を書類送検。
  • 愛知県警摘発(2024年):高額POSレジ詐欺で入手した現金を組事務所に持ち込ませた20代組員3人を建造物侵入・恐喝容疑で逮捕。

4.法的評価と処罰の枠組み

  • 「犯罪収益等収受罪」(刑法第193条の2):犯罪によって得た利益を収受した者に適用。懲役1~10年または罰金。
  • 「詐欺利益収受罪」(暴力団対策法第31条の2):暴力団員が詐欺から得た利益を受け取った場合、追加の厳罰規定あり。
  • マネーロンダリング防止法:金融機関に対し、不審取引の届出義務を課し、組織的資金移動の摘発を支援。

5.暴力団資金源対策の現状

  1. 暴力団排除条例:全国47都道府県で独自に制定。公安委員会告示に基づき、業者・金融機関などが「排除対象者」への取引禁止を徹底。
  2. 警察庁・CIC連携:電話番号や口座情報を共有し、詐欺グループの活動をリアルタイムで抑止する仕組みを強化。
  3. 資産凍結措置:暴力団員と認定された者の預貯金・不動産を捜査機関が差し押さえる実務が増加。

6.今後の課題と展望

  • 組織的摘発の困難性:暴力団と詐欺グループの「境界」は曖昧化し、個人情報や仮想通貨の匿名化が摘発を難しくしている。
  • 地域連携の強化:警察、自治体、金融機関、通信事業者による情報共有・啓発活動を一層推進し、「上納金」受領の未然防止を図る。
  • 国際協力:国境を越えた詐欺犯罪対策として、国際刑事警察機構(ICPO)やASEAN警察協力機構(ASEANAPOL)との連携を強化。

まとめ

養老署による今回の逮捕は、特殊詐欺被害の闇を支える暴力団の資金源構造を浮き彫りにしました。犯罪収益を上納金として吸い上げる手口は、組織的犯罪の極みと言えます。摘発は成果を上げていますが、仮想通貨やインターネットを悪用した新たな資金ルートが次々に登場しており、「イタチごっこ」から脱却するには、技術革新への対応と国際的情報共有の強化が不可欠です。市民一人ひとりが詐欺の手口に注意を払うと同時に、行政・金融機関・警察が連携して暴力団排除策を徹底し、「犯罪マネー」の流通を遮断する取り組みを加速させる必要があります。

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