駅員鮮やか過ぎる関節技 痴漢逮捕
2025/06/24 (火曜日)
ブラジリアン柔術が趣味の駅員「組めば勝てると追いかけた」 関節技で痴漢現行犯逮捕
2025年6月24日、京都府警向日町署は阪急電鉄の駅員2名に感謝状を贈呈しました。2名のうち一人は、趣味でブラジリアン柔術を学んでいた駅員で、電車内で痴漢行為を働いた男を追跡し、プラットフォーム上で関節技を決め現行犯逮捕に貢献しました。被害女性が同社のチャットボットサービスで助けを求めた際、他の駅員と協力して迅速に対応したことも評価されています
6月18日夕方、阪急京都線の普通電車内で20代女性が痴漢被害に遭いました。被害女性は車内のタッチパネル式インターホンではなく、 同社が導入するAIチャットボットに接続し、「助けてほしい」とメッセージを送信。これを受信した阪急電鉄の駅員延命寺さんと川本さんが最寄り駅で電車を停止させ、被疑者が降車した直後に追跡を開始しました。
延命寺さんはプラットフォーム上で間合いを詰め、ブラジリアン柔術の関節技(アームバー)を用いて被疑者の腕を固め、 その場で身柄を確保。被疑者は抵抗せずに逮捕され、京都府警に引き渡されました。
ブラジリアン柔術(BJJ)は20世紀初頭に日本の柔道家がブラジルに技術を伝承し、グレイシー一族らによって寝技主体の格闘技として発展したものです。関節技や絞め技による制圧力が高く、相手の力を利用して倒す「小さな力で大きな効果を実現」する点が特徴。実戦性が高いため、世界中の警察や軍隊でも護身術として採用例があります。
延命寺さんは趣味として道場に通い、週に2回の稽古を重ねていたといいます。今回の逮捕でも、体格に勝る容疑者に対し関節技で静かに制圧し、周囲への危険を最小限に抑える技術が功を奏しました。
日本の刑事訴訟法第213条は「現行犯人を逮捕する権利」を私人にも認めています。鉄道事業法や会社規則では、駅員が列車運行の安全を確保する義務を負い、公共の安全を脅かす行為に対しては即時対応が求められます。今回のケースでは、被害者の通報を受けて当直駅員が職務を越えない範囲で追跡・制圧し、警察への引き渡しまでを適正に行った点が評価されました。
近年、公共交通機関での痴漢行為を防止するため各社は防犯カメラの増設や女性専用車両の導入、AIチャットボットによる緊急通報システムの実用化を進めています。被害者が利用したチャットボットは、AIが会話形式で緊急性を判断し、最寄り駅の駅員にリアルタイムで通知する仕組みです。今後は通報から対応までのリードタイム短縮や、現行犯逮捕の成功事例をマニュアル化し、全国の鉄道事業者へ展開する動きが期待されます。
いずれも「市販の護身用アイテムでは対応困難な力関係において、格闘技で制圧することで重大事件を未然に防いだ」ケースとして注目されました。
京都府警向日町署では6月24日付で駅員2名に感謝状を贈呈。署長は「乗客の安全確保と犯人逮捕に貢献した勇気と機動力に敬意を表する」とコメントしました。また阪急電鉄社長も社内報で両名を称賛し、今後の駅員研修に護身術カリキュラムを追加すると発表しています。
護身術を学ぶ駅員が増える一方、適切な研修体系と安全管理が不可欠です。過度な力の使用を防ぐため、部位別の制圧手順やケガ防止策を盛り込んだマニュアル整備、専門家による定期的な指導が求められます。また、AI通報システムを含む多層的防犯対策を全国的に標準化し、公共交通機関全体の安心・安全を向上させることが喫緊の課題です。
痴漢現行犯逮捕に尽力した阪急電鉄駅員の事例は、趣味で磨いたブラジリアン柔術の技術が公共の安全に寄与した好例です。AIチャットボットによる通報と熟練の護身術を組み合わせた新たな痴漢対策モデルとして、今後の全国展開が期待されます。駅員一人ひとりの自主的な学びと、鉄道事業者・警察が一体となった取り組みが、日本の公共交通をより安全なものへと進化させるでしょう。
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