国民民主勢いに陰り 火消しに躍起
2025/06/02 (月曜日)
夏の参院選で「台風の目」になり得ると目されていた国民民主党の勢いに陰りが見え始めた。
参院選候補の人選や党のガバナンス(統治)に疑問の声が上がる中、政府備蓄米を巡る玉木雄一郎代表の「1年たったら動物の餌」発言が追い打ちをかける形となった。党幹部は世論が離反しかねないと火消しに躍起だ。
「意見として受け止めたい」。玉木氏は5月31日、高松市の会合で、参院選比例代表に出馬する山尾志桜里元衆院議員の公認取り消しを支援者から求められると、神妙な面持ちでこう語った。
玉木氏の足元には不安材料が積み上がる一方だ。潮目を変えたのは山尾氏の擁立。4月下旬に方針が報じられると、SNSなどで冷ややかな声が上がった。山尾氏は過去に不倫疑惑を報じられた経緯があり、役職停止処分につながった玉木氏の不倫問題と重なって「不誠実な党」と映った。
党内統治に疑問を抱かせる一幕がこれに続いた。江藤拓前農林水産相の「コメは買ったことがない」との発言を受け、玉木氏は5月20日の記者会見で「辞めろとは言わない」と表明。しかし、榛葉賀津也幹事長は直後に国会で「即刻辞めるべきだ」と語り、幹部間の意思疎通不足を露呈した。
多くの世論調査で政党支持率が下落する中、玉木氏から飛び出したのが「餌」発言だった。
玉木氏は28日の衆院農水委員会で、政府が放出を急ぐ2021年産備蓄米を念頭に「1年たったら家畜の餌に出すようなもの」と指摘。与野党から「不適切」と批判が噴出し、SNSなどで「現在の制度を説明したまで」などと釈明に追われた。玉木氏は31日のBSテレ東の番組で「不快感を与えて反省している。おわびしたい」と陳謝した。
参院選候補の人選や党のガバナンス(統治)に対し厳しい批判が続く中、立憲民主党代表・玉木雄一郎氏が政府備蓄米について「1年たったら動物の餌」という発言を行い、党内外からさらに炎上しています。本稿では、問題の経緯を整理しつつ、今後の政局や党運営への影響、見直すべき課題について考察します。
4月下旬、玉木代表は参院選比例代表に元衆院議員・山尾志桜里氏を擁立する方針を発表しました。しかし、山尾氏は過去に不倫疑惑が報じられ、役職停止処分を受けた経緯があります。それが発表されるやネット上では「不誠実な党運営」「看過しがたい人選ミス」といった批判が噴出し、支持者や有権者の間に「立憲民主党のガバナンス体制に問題がある」という不安が広まりました。
さらに、同党所属の江藤拓前農林水産相が「コメは買ったことがない」という発言をした際、玉木代表は記者会見で「辞めろとは言わない」と発言しました。ところが幹事長の榛葉賀津也氏は国会で「即刻辞めるべきだ」と主張し、党内の意思疎通不足が露呈しました。人選と幹部間の食い違いが続発し、党の統治体制が脆弱であるとの印象を与えました。
玉木代表は5月28日の衆院農林水産委員会で、政府が放出を急いでいる2021年産備蓄米について、「1年たったら家畜の餌に出すようなもの」と発言しました。この発言は国内外の食料事情や備蓄米の意義を踏まえた説明とする意図だったものの、野党や与党の国会議員から「不適切だ」と批判されました。
ネット上では「食料を軽視している」「被災地や生活困窮者を侮辱している」といった批判が拡散され、党内からも「世論離反を招きかねない」と懸念の声が上がりました。玉木氏はその後、BSテレ東の番組で「不快感を与えたことを深く反省し、おわびしたい」と陳謝しましたが、タイミングの悪さや党内統制の甘さが改めて浮き彫りになりました。
これまでの人選問題、幹部の見解相違、そして「餌」発言によって、立憲民主党の支持率は低下傾向が続いています。多くの世論調査では、参院選を前に「政策よりも党運営の不安定さを理由に支持しにくい」という回答が目立ち、年齢を問わず懸念を示す層が増えています。
党所属議員や地方組織からは「党代表をはじめ幹部が足並みをそろえ、政策の一貫性を示さなければ、選挙中に有権者の信頼を取り戻すのは難しい」という声が聞かれます。内部調整の弱さ、説明責任の欠如は、選挙公約や政策論議を覆い隠す状況に陥る恐れがあります。
参院選本番が近づく中、立憲民主党は「コメ政策」や「生活支援策」を打ち出す予定ですが、「餌」発言の印象が強いままでは、有権者に響きづらいことは明らかです。政府備蓄米問題そのものは農林水産省が所管する政策課題ですが、野党第一党が発言で自己矛盾を招いたことで、与党も攻撃材料を得ました。
一方、与党側では「野党の発言が不適切だったのは明らか」として糾弾の急先鋒に立ち、選挙戦略を有利に進めたい意向があります。経済政策においては「食料安全保障」「農家支援」というテーマが避けて通れず、立民党が食と農をめぐる政策議論のフロントラインから後退する可能性も否定できません。
この混乱を打開するためには、立憲民主党が以下の点に取り組む必要があります。
参院選の投票日は迫っており、立憲民主党がどれだけ短期間で党の結束を取り戻し、有権者の声に応える政策を打ち出せるかが鍵となります。仮に玉木代表が続投した場合、代表権への信任が問われる状況となり、いつ代表交代の議論が浮上してもおかしくありません。
他方、自民党・公明党など与党側は「野党が統治能力を欠いている」として攻勢を続ける構えです。選挙区ごとに野党統一候補を擁立する動きもありますが、党本部が混乱しているままでは、地域組織との連携もスムーズに進まない恐れがあります。
最終的にどのような結果となるかは不透明ですが、「政権交代を視野に入れた選挙」ではなく「与党の過半数割れ阻止」が焦点となるため、無党派層の支持をいかに拡大できるかが重要です。今回の「餌」発言問題が有権者の記憶に長く残れば、立民党の支持回復は容易ではないでしょう。
玉木雄一郎代表の「餌」発言を契機とした一連の混乱は、立憲民主党の党内統治の甘さを露呈し、参院選を前に世論の批判を一段と高めました。今後は、代表自身が責任を持って党運営を立て直し、有権者に対して誠実かつ具体的な政策ビジョンを示す必要があります。
また、党内人材育成や人選プロセスの見直しを行い、党幹部と候補者が一丸となって選挙戦に臨むことで、離反した支持層を再び取り込む努力が求められます。選挙結果だけでなく、選挙後の党の再生が重要であり、参院選後も政党としての信頼回復に向けた長期的な取り組みが必要不可欠です。
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