G7開幕を前に カナダで抗議デモ
2025/06/16 (月曜日)
G7サミット開幕前に抗議デモ ガザ戦闘やイスラエルのイラン攻撃止めるよう各国首脳に訴え
2025年6月中旬、カナダ・アルバータ州で開催される主要7か国(G7)サミットを前に、世界各地で大規模な抗議デモが展開されました。デモ参加者はパレスチナ・ガザ地区での戦闘行為停止と、イスラエルによるイラン攻撃を中止するよう、各国首脳に向けて強く訴えています。異例の過激化が懸念される中東情勢に対し、市民レベルからの平和への願いが可視化された今回のデモの背景や主張、各地での展開と国際的影響について、多角的にレポートします。
今回の抗議デモは、G7サミットの主要日程が始まる6月15日から16日にかけて、北米からヨーロッパ、アジア、オセアニアまで二十以上の都市で同時多発的に行われました。ロサンゼルス、トロント、ロンドン、パリ、東京、シドニーなどでは数百人から数千人規模の市民や学生が参加し、サミット会場へのデモ行進や、在外公館前でのスタンディングアピールを実施。平和の象徴として鳩や白い横断幕、パレスチナ旗とイラン国旗を掲げ、音楽隊や手作りプラカードを用いた「非暴力」の抗議スタイルが印象的でした。
主催したのは「世界平和連帯ネットワーク」「中東和平を求める市民の会」などの国際的な市民団体をはじめ、各国の学生団体や人権NGO、宗教者グループなど多様な市民セクター。参加者の年齢層は18歳から70代まで幅広く、医師や教員、技術者、主婦、留学生らが顔を合わせました。SNSを通じて呼びかけられたボランティアスタッフが事前に交通整理や発言者の通訳支援を担い、国境を越えた連帯感と組織的な運営力が特徴です。
デモの中心的な要求は二つあります。一つ目は「パレスチナ・ガザ地区での戦闘行為停止」。市民らは「子どもを、民間人を、もう犠牲にしないで」「即時無条件停戦を」と書かれたスローガンを掲げ、ガザ地区での空爆や地上戦の即時中止を国際社会に求めました。二つ目は「イスラエルの対イラン攻撃を中止せよ」。昨年から断続的に報じられるイスラエル軍のイラン攻撃示唆に対し、「さらなる紛争拡大を許さない」「対話こそが安全保障の道」というメッセージを強く発しています。
G7サミットの議題には気候変動や経済協調、防衛協力などが並ぶ一方、中東情勢はハイレベル議論の重要課題にも位置付けられています。抗議参加者らは、英語やフランス語、日本語などで準備した声明文を首脳あてに読み上げ、各国政府に以下の具体行動を要求しました。
各国政府は一律にデモ行為を「表現の自由」として尊重しつつ、交通規制や警備強化を同時に発表。警察当局は大きな混乱はなく、非暴力で進行したとして、参加者と主催者双方に感謝を表明しました。主要メディアでは一部「サミット議題から中東問題が後景化しないか」との懸念を報じる一方、市民レベルからの意見表明が「民主主義の成熟の証し」と評価されています。
2025年に入り、中東和平プロセスは停滞が続き、民間人犠牲者数は依然高止まりしています。G7首脳が今回のデモを契機に結束して共同声明で強い言及を行うかが注目されるほか、サミット後にはアラブ首長国連邦(UAE)やカタールを含む外相会合によるフォローアップも計画されています。国際政治学者は「市民運動と政府交渉のパラレルアプローチが中東和平の新たな突破口を生む可能性がある」と指摘しています。
G7サミット開幕前の抗議デモは、市民レベルでの平和への強い願いを示す象徴的な出来事となりました。各国首脳には、この声に真摯に耳を傾け、外交交渉の場で具体的な行動を取る責務があります。非暴力と連帯のメッセージを世界に発信した今回のデモが、ガザでの戦闘停止と対イラン攻撃回避に向けた大きな一歩となることが期待されます。
コメント:0 件
まだコメントはありません。