「日男韓女」から「韓男日女」へ? 日本女性と韓国男性の結婚増える Kポップ人気も背景
2025/07/19 (土曜日)
筆者の知り合いを含め、これまでの日韓の結婚イメージはもっぱら、日本男性と韓国女性という「日男韓女」だった。それが今や変わりつつあるというわけだ。
話題のきっかけは日本の報道(15日付、日経新聞)だが、確かに近年、日本の若い女性の間で韓国に住んでみたい、韓国で働きたい、韓国男性と付き合ってみたい、といった声をよく聞く。筆者が客員教授をしている日本の神田外語大でも、人気の韓国語を学ぶ女子学生たちの間
2025年7月19日、産経ニュースは「『日男韓女』から『韓男日女』へ? 日本女性と韓国男性の結婚増える Kポップ人気も背景」と題する記事を掲載した。この記事は、韓国統計庁のデータをもとに、2024年に日本人女性と韓国人男性の国際結婚が前年比40%増の1176件に達し、過去10年で最多を記録したと報じている。一方、韓国人女性と日本人男性の結婚は147件にとどまり、10年前の5分の1に減少。背景には、韓国の経済力向上やK-POPを中心とする韓流文化の影響があるとされる。以下、この現象の背景、歴史的文脈、類似事例、そして今後の影響について詳しく解説する。
[](https://en.wikipedia.org/wiki/Sankei_Shimbun)産経ニュースによると、2024年の韓国人男性と日本人女性の結婚件数は1176件で、前年比40%増と急増した。これに対し、韓国人女性と日本人男性の結婚は147件に減少し、過去10年で最低水準を記録。従来、日韓の国際結婚は「日本人男性と韓国人女性」の組み合わせが主流だったが、近年は「韓国人男性と日本人女性」が逆転する傾向にある。この変化の背景には、韓国の経済成長と文化的影響力の拡大が大きく関わっている。韓国は、1990年代以降の経済発展により、アジアの主要経済国の一つとなり、2023年の1人当たりGDPは約3万6000ドルに達した。一方、日本の1人当たりGDPは約3万4000ドルで、経済格差が縮小している。
[](https://www.sankei.com/article/20250719-6QTY3CH4WRCJVF6WLFGTF3L7H4/)K-POPや韓国ドラマといった韓流文化も、若い日本人女性を引きつける大きな要因だ。BTSやSEVENTEENなどのK-POPアイドルは、日本で熱狂的なファンを獲得し、韓国人男性に対するポジティブなイメージを広げている。X上では、「K-POPの影響で韓国人男性がカッコよく見える」「韓ドラのロマンチックな男性像に憧れる」との声が散見され、文化的魅力が結婚観に影響を与えていることがうかがえる。また、SNSやマッチングアプリの普及により、言語の壁を越えた出会いが増加。日韓カップル専用の結婚相談所も登場し、こうしたトレンドを後押ししている。
日韓の国際結婚は、歴史的に複雑な背景を持つ。1965年の日韓国交正常化以降、両国の交流が活発化し、1980年代から国際結婚が増え始めた。当初は、韓国人女性が日本人男性と結婚するケースが多かった。これは、韓国経済が日本に比べ発展途上だった時期に、経済的安定を求めて日本に渡る女性が多かったためだ。1990年代には、韓国人女性が日本の農村部で結婚する「国際結婚ブーム」が起こり、自治体が仲介するケースもあった。しかし、2000年代に入ると、韓国の経済成長に伴い、このパターンが変化。2010年代以降、韓流ブームが日本で広がり、韓国人男性の魅力が高まったことで、逆の組み合わせが増え始めた。
2000年代初頭、韓流ドラマ「冬のソナタ」が日本で大ヒットし、韓国文化への関心が高まった。これが、若い世代を中心に韓国人男性への憧れを醸成。2010年代には、K-POPグループの日本進出が加速し、若者の間で韓国文化が身近になった。X上では、「10年前は韓国人女性が日本に来るイメージだったけど、今は日本女性が韓国に惹かれてる」との投稿があり、時代と共に結婚パターンが変化していることがわかる。この背景には、グローバル化やインターネットの普及が、文化的距離を縮めた影響も大きい。
国際結婚のトレンドが文化や経済に影響される現象は、ほかの地域でも見られる。たとえば、1990年代のアメリカでは、日本経済のバブル期に日本人女性とアメリカ人男性の結婚が増加。日本の経済力やアニメ・漫画文化が、アメリカでの日本ブームを牽引した。近年では、中国人男性と東南アジア女性の結婚が急増しており、中国の経済成長と文化的影響力が背景にある。これと同様に、韓国の経済力とK-POP文化が、日本人女性の結婚観に影響を与えているといえる。
欧米では、ハリウッド映画や音楽が国際結婚に影響を与えた例もある。たとえば、1990年代にアメリカ人男性とロシア人女性の結婚が増えた背景には、冷戦終結後のロシア文化への関心や、インターネットを通じた出会いの増加があった。日韓の場合も、SNSやマッチングアプリが両国の若者を結びつけ、韓国人男性の「優しさ」や「ロマンチックなイメージ」が、日本人女性の間で魅力的に映っている。X上では、「韓国の男性は気遣いが細やかで、日本人男性より積極的」との意見があり、こうしたステレオタイプが結婚の動機に影響している可能性がある。
このトレンドに対し、X上では賛否両論が飛び交っている。肯定的な意見では、「韓流文化のおかげで日韓の距離が縮まった」「愛に国境はない」と、草の根の交流を歓迎する声が多い。一方で、「日本人女性が韓国に流出するのは日本の少子化に悪影響」「韓国人男性との結婚を推奨するのは文化侵略」との批判も見られる。特に、参政党など一部政治勢力が「日本人ファースト」を掲げ、国際結婚の増加に警鐘を鳴らしている。産経ニュースの関連記事では、参院選で外国人問題が議論され、立憲民主党の野田佳彦代表が参政党の排外主義的姿勢を批判したと報じられている。
[](https://www.sankei.com/article/20250706-2R5DOQB6AJARHEQZJL3NOYAFDQ/?outputType=theme_election2025)一部のX投稿では、「韓国人男性との結婚を法律で禁止する国がある」とのコメントが話題に。この発言は事実誤認の可能性があるが、韓国人男性に対する偏見や、国際結婚への抵抗感を反映している。実際、韓国統計庁のデータでは、韓国人男性と日本人女性の結婚が増える一方、韓国人女性と日本人男性の結婚が減少しており、ジェンダーや文化的ステレオタイプが影響しているとの分析もある。
日本人女性と韓国人男性の結婚増加は、日韓関係にポジティブな影響を与える可能性がある。草の根レベルの交流は、歴史問題や領土問題で緊張しがちな両国関係を和らげる役割を果たす。X上では、「日韓カップルが増えれば、相互理解が深まる」との楽観的な意見が見られる。しかし、少子化が進む日本では、国際結婚の増加が国内の人口動態に影響を与えるとの懸念もある。特に、若年層の女性が海外で家庭を築く場合、国内の出生率低下につながる可能性が議論されている。
韓国側でも、国際結婚の増加は社会に変化をもたらしている。韓国では外国人配偶者への支援制度が拡充され、言語教育や就労支援が強化されている。日本でも、国際結婚家庭の子どもへの教育や社会統合が課題となるだろう。また、K-POPや韓流文化の影響が今後も続く場合、さらなる結婚の増加が予想される。一方で、両国間の経済格差や文化的摩擦が再燃すれば、こうしたトレンドにブレーキがかかる可能性もある。
日本人女性と韓国人男性の結婚増加は、韓国の経済力とK-POP文化の影響が背景にある。歴史的に「日男韓女」が主流だった国際結婚のトレンドが逆転し、SNSやマッチングアプリが新たな出会いを後押ししている。X上の賛否両論や政治的議論は、文化的交流と社会課題の複雑さを映し出す。日韓の草の根交流は、両国関係の改善や相互理解に貢献する一方、少子化や文化的摩擦への対応が求められる。愛に国境はないが、持続可能な共生には政策と社会の努力が必要だ。
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