ネットカジノ騒動 芸人ら活動再開
2025/06/08 (日曜日)
オンカジ騒動の吉本芸人、相次いで活動再開 9番街レトロ・なかむら★しゅん、ダンビラ・大原ら
吉本興業所属のお笑い芸人「9番街レトロ」なかむら★しゅん(31)と「ダンビラムーチョ」大原優一(35)が、オンラインカジノ利用を理由に賭博罪で略式起訴され、自主的に活動を自粛していた騒動から約四カ月、2025年6月8日にそれぞれSNSで活動再開を表明した。他にも「プリズンクイズチャンネル」竜大(31)と最強の庄田(35)ら、当初自粛していた複数の芸人が謝罪と決意表明を含めた動画を公開し、芸人活動を再開している。
オンラインカジノ問題は2025年2月、吉本興業が所属タレント数名の違法オンライン賭博利用を公表したことに端を発する。警視庁の任意聴取を受けた結果、2023年初頭から2024年末にかけてBaccaratやスポーツ賭博などを繰り返し、不特定多数のサイトに数千万円を入金していた疑いで、計六名が商品送検の対象となった。うち大原、なかむらら四名は略式起訴され、罰金刑を言い渡された。
吉本興業は2月末に公式サイトで「所属タレントの法令順守を徹底する」と謝罪し、問題該当者を無期自粛処分とした。併せて全タレントに対しギャンブル依存防止研修とメンタルヘルスサポートを義務付け、法務部門と連携した再発防止策を発表。自粛期間中、該当芸人はステージ出演やメディア露出を一切取りやめ、スポンサー番組の差し替えやCM降板に応じた。
略式起訴後の罰金支払いを経て、芸人たちは6月初旬に順次活動再開の意思を表明。なかむらは「関係者の皆様、応援してくださる方々に多大なご心配とご迷惑をおかけしました。再出発に際し、信頼回復のため全力を尽くします」とインスタグラムで謝罪。大原も「深く反省し、一日も早く皆様に笑いを届けられるよう精進します」とツイートし、今後の公演出演予定を案内している。
お笑い業界では、公演待機中や移動時間を利用したスマホギャンブルが長年一部で常態化してきた歴史がある。特にオンラインカジノは24時間アクセス可能で報酬が大きいため、依存症リスクが高い。今回の騒動を受け、芸人ユニットや事務所を横断する依存防止プログラムの導入が急務とされ、専門家による定期カウンセリングや仲間同士のピアサポート体制が検討されている。
戦前の花札賭博に始まり、1970~80年代の野球賭博事件、1990年代の公然たる麻雀賭博問題など、芸人やタレントによる違法ギャンブル事件は度々社会問題化してきた。しかしネット時代以前は物理的証拠が得にくく、摘発例は限られていた。今回のようにログデータが証拠となるオンライン賭博事件は初の大規模摘発であり、捜査手法と法運用の進化を示す事例となった。
視聴者やファンの間では「厳正な処分後にきちんと謝罪したことは評価できる」との声と、「信頼回復にはしばらく時間がかかる」との厳しい意見が混在している。芸人仲間からは「戻ってきてくれてうれしい」「同じ轍を踏まぬよう支え合いたい」と連帯のメッセージが寄せられている。
政府はオンラインカジノサイトへのアクセス規制や広告規制を強化する検討を進めている。ギャンブル等依存症対策基本法の改正案では、違法賭博撲滅に向けた罰則強化や被害者支援の予算拡充が盛り込まれる見通し。一方、業界団体では自粛解除後の芸人向けフォローアップ研修や、定期的な依存リスクチェックの義務化を提言している。
オンラインカジノ騒動に揺れた吉本興業の芸人たちが、謝罪と決意を携えて活動再開した。過去のギャンブル事件から学び、事務所と演者が一体となって健全な芸人文化を再構築することが求められる。廃絶が難しいインターネット賭博とどう向き合うかは、芸能界のみならず社会全体のギャンブル依存対策の試金石となるだろう。
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