中国産スナック菓子から禁止添加物検出 千葉市、業者に回収命令 12万袋対象「食べずに連絡を」
2025/06/23 (月曜日)
千葉市は23日、同市美浜区の食品輸入業者「清水物産ホールディングス」が中国から輸入したスナック菓子から、国内で使用が禁止されている食品添加物が検出されたと発表した。市保健所は同日、同社に回収と廃棄を命じた。
違反のあった菓子は「フライドポテト うすしお味」で、今年3月31日以降に輸入された12万袋が回収の対象になる。既に流通しているものの、健康被害は確認されていない。
千葉市は2025年6月23日、市内美浜区の食品輸入業者「清水物産ホールディングス」が中国から輸入したスナック菓子「フライドポテト うすしお味」から、国内で使用が禁止されている酸化防止剤(TBHQ)が検出されたと発表しました。市保健所は同日、同社に対し当該商品の回収および廃棄を命じています。(出典:千葉日報オンライン2025年6月24日)
対象商品は合成樹脂製袋詰め45g入りで、賞味期限2026年1月1日。原産国は中国で、2025年3月31日以降に計6,000箱(1箱20袋入り、約12万袋)が輸入・販売されました。現在流通中の製品については販売先を調査中ですが、健康被害の報告は現時点で確認されていません。(出典:千葉市保健所2025年6月23日公表)
TBHQ(tert-ブチルヒドロキノン)は欧米で油脂の酸化防止剤として広く使われる物質ですが、日本国内では食品添加物に指定されていません。市の検査では0.0011g/kgの濃度で検出されました。欧州食品安全機関(EFSA)は、TBHQの一日摂取許容量を体重1kg当たり0.7mgと定めています。(出典:千葉市保健所2025年6月23日公表)
日本では1950年制定の食品衛生法で添加物の規格基準を定め、1960年代以降、使用できる物質を指定添加物として厳格に管理しています。TBHQは当初から認可対象外であり、輸入食品も同法第12条に基づき国内使用は禁止されています。近年はHACCP導入や食品安全基本法の整備により、輸入食品の監視強化が進められています。
近年、国内各地で中国産菓子や調味料から無認可添加物が検出され、回収命令が相次いでいます。2023年には大阪市でインスタントヌードルから防腐剤が、2024年には福岡県で缶詰から着色料が見つかり、それぞれ数千~数万単位で回収が実施されました。いずれも深刻な健康被害は報告されませんでしたが、消費者の不安を招いています。
米国ではFDAがTBHQを食品添加物として認可し、加工油脂や菓子類に最大0.02%まで添加を認めています。EU28か国でも同様に酸化防止剤として使用が認められていますが、日本などアジア諸国では未承認のままです。各国の安全基準やADI(許容量)の設定に差がある点が留意されます。
清水物産ホールディングスは同日、自社ウェブサイトで自主回収とお詫びを発表。「お手元にある方は絶対に食べず、当社コールセンターまでご連絡ください」と案内しています。市保健所は併せて、販売業者や小売店に対し在庫確認と回収・廃棄の徹底を指示しました。
市保健所は、対象商品を誤って摂取した場合でも直ちに健康被害を及ぼす可能性は低いとしていますが、「万一体調不良があれば医療機関を受診してください」と呼びかけています。なお、回収方法は購入店または同社コールセンターでの返品対応を予定しています。
千葉市は輸入食品のサンプリング検査を年2回から4回に増やし、食品衛生監視指導計画にTBHQなど指定外添加物の検査項目を追加します。厚生労働省も地方自治体と連携し、輸入届出制度の運用見直しや輸入前検査の強化を検討中です。
今回の清水物産ホールディングスによる違反事案は、輸入食品の安全管理が重要であることを改めて示しました。今後は企業のコンプライアンス徹底と行政の監視強化、消費者のリテラシー向上を通じて、安全な食品流通の確保が求められます。
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