石破首相の川口演説、外国人問題は6番目 市民ら「ルールを守らせると言ってほしかった」
2025/07/06 (日曜日)
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石破氏は約17分間マイクを握り、政策については外交問題を皮切りに、物価高、消費税、防災、コメ問題と語り、演説の最後に外国人問題に触れた。
「この川口のいろいろな外国の方々との問題。外国の方々にはルールをきちんと守って日本の社会でいろいろな役割を果たしてもらうことが大事だ。日本の習慣をきちんと身につけてもらうことで、日本で多くの国の人たちが共に暮らしていくことができる」
石破氏が公示後の全国での
石破首相の川口演説に見る外国人共生と規律──日本の移民政策はどこへ向かうのか
2025年7月5日、参院選公示後の応援演説で石破茂首相は埼玉・川口市で約17分間マイクを握り、外交問題、物価高、消費税、防災、コメ政策など主要6項目を語った後、演説の最後に「外国人問題」に触れました。「外国の方々にはルールをきちんと守って日本の社会で役割を果たしてもらうことが大事」「日本の習慣を身につけてもらうことで、多くの国の人たちが共に暮らしていくことができる」と述べ、市民からは「ルールを守らせると言ってほしかった」との声が上がりました。
石破首相は当該演説で、人口約60万人の川口市に在住する外国人が約3万9千人(約6.5%)に上るデータを念頭に、「多様性を生かすには共生ルールの徹底が不可欠」と強調しました。演説順では最後の6番目だったものの、現地では「増加する外国人住民との軋轢を放置せず、ルール違反には厳正対応してほしい」といった市民の期待が根強いことを浮き彫りにしました。
日本の外国人政策は1951年の「出入国管理令」公布、1952年の「外国人登録法」施行に始まり、以後、在日朝鮮人・中国人を中心に制度が整備されました。高度経済成長期には技能実習制度や留学生受け入れが拡大。2018年改正入管法で「特定技能」制度が創設され、建設、介護、宿泊、農業など14分野で34万人超の外国人就労が見込まれています。しかし、定住促進策や地域共生の支援体制は後手に回り、「ルールの周知」「日本語教育」「生活指導」の制度空白が課題とされてきました。
川口市では2018年に「多文化共生指針」を策定し、市民向け日本語教室や相談窓口を設置。2025年2月現在、外国人住民は中国、ベトナム、フィリピン、韓国・朝鮮など多様な国籍が暮らし、約10年間で1.7倍に増加しました(39,028人・6.45%)。市は「外国人市民プラン」でルールブックや生活ガイドを多言語化し、公職選挙の権利拡大や参画促進を目指す一方、違反者への罰則強化も検討中です。
多文化共生の一方で、地域からは「騒音・ゴミ出しマナー違反」「路上飲酒」「子どもの通学時の言葉の壁」など具体的な軋轢が報告されています。自治体アンケートでは約4割の住民が「外国人住民との生活ルール周知不足」を指摘。言語・文化格差を埋める日本語教育や共同イベントの企画が功を奏すケースもあるものの、受け入れ側・当事者双方の理解促進が追いついていないのが実情です。
ドイツでは1970年代から「市民統合法(Integrationsgesetz)」を段階的に整備し、移民の就労、居住、日本語学習を義務化。フランスは「同化モデル」(Assimilation)を掲げ共和国の価値観尊重を要請。カナダは「多文化主義」を国是とし、移民受け入れと共生支援に重点を置く。いずれも法律で明確な権利義務を定め、自治体・民間の連携による包括的支援を展開しており、日本の「努力義務」型の多文化共生指針とは一線を画します。
川口市に隣接する蕨市では外国人比率が10%超と全国トップクラス。地元商店街は特産品販売を外国語で案内する一方、公共交通マナー研修を在住者対象に実施しています。大阪府泉佐野市は特定技能受入れで外国人宿泊研修を観光振興に結び付け、コミュニティ参加を促す先進事例として注目されました。こうした取り組みから「共生」と「規律」を両立させるヒントを得ることができます。
石破首相の川口演説は、急増する外国人住民との「共生」と「規律」の両立を巡る日本社会の正念場を象徴しています。歴史的に入管制度は技能・留学生中心に整備され、2018年以降は「特定技能」制度が導入されたものの、定住者向け支援は不十分でした。川口市のように6%超の外国人割合を抱える自治体では、多文化共生指針や日本語教育の強化が進む一方、地域住民の「ルール違反」への不安も根強いのが実情です。
今後は、法的義務化によるルール遵守の徹底と、多言語によるサポート体制の充実、自治体間連携による成功事例の共有を進め、地域の多様性を尊重しつつ秩序ある共生社会を実現することが求められます。石破首相が訴えた「ルールを守らせる」という視点は、単なる排外主義ではなく、互いの権利義務を明確化することによってのみ築ける、新たな共生モデルへの第一歩といえるでしょう。
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