韓国サムスンの営業利益が前年同期比56%減、主力の半導体事業の実績不振
2025/07/08 (火曜日)
主力の半導体事業を担当するデバイスソリューション(DS)部門の実績不振が続いたとみられる。(共同)
サムスン電子DS部門の不振──半導体市況低迷とグローバル競争環境の変遷
2025年7月8日、韓国サムスン電子は2025年4~6月期連結決算(暫定)を発表し、営業利益が前年同期比約56%減の4兆6千億ウォン(約4,880億円)に落ち込んだ。売上高こそ微減の74兆ウォンだったが、主力の半導体事業を担うデバイスソリューション(DS)部門の実績不振が大きく影を落としたとみられる。米中のAIチップ規制やハイバンド幅メモリ(HBM)出荷遅延が重なったことが背景だ。:contentReference[oaicite:0]{index=0}
サムスン電子のDS部門は、DRAMやNAND型フラッシュメモリに加え、データセンター向けAIチップ(HBM)やファウンドリ(受託生産)を統括するコア部門だ。2024年後半からのメモリ市況悪化で在庫調整が長期化し、2025年Q2も前期比で利益率が大きく低下。特に米国の中国向け輸出規制で高付加価値AIチップの売上が抑制され、在庫評価損も膨らんだとされる。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
半導体業界は2018年以降、スマートフォン需要の伸び悩みやデータセンター向け増産が一巡し、供給過剰局面に突入。加えて米中貿易摩擦で中国市場が閉鎖的になったことで、DRAM価格は2024年に底を打ったものの、需要回復は限定的だった。サムスンは2019年にDRAM世界シェア約43%、NAND約30%を誇っていたが、価格競争と在庫調整で利益率は低下の一途をたどった。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
かつてPC向けプロセッサーで独走したインテルも、2018~19年のPC需要減速でファウンドリ設備への過大投資が仇となり、数期連続の減益を経験。一方、台湾TSMCは先端プロセス受託で好調を維持し、2025年も5nm/3nm需要に支えられた。サムスンDS部門はメモリ依存の高い収益構造ゆえ、ファウンドリとの収益源多様化が急務となる。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
世界各国は半導体自給率向上を国家戦略と位置づけ、巨額補助金を投じる。米国はCHIPS法で500億ドル超を投資促進、中国も過剰能力統制を表明しつつAPT(先端プロセス)育成を継続。欧州も「アクションプラン」で産業回帰を図る。こうした中、サムスンDS部門は国際競争力を維持するため、韓国政府の補助策活用や研究開発投資の強化が求められる。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
サムスン電子のDS部門不振は、メモリ市場の長期低迷と米中規制強化が要因であり、半導体業界全体が直面する構造的課題を反映している。76兆円規模の売上を支える中核事業の収益悪化は企業価値に直結するため、製品多角化や需給調整、グローバルサプライチェーン再構築が急務だ。インテルやTSMCの経験に学びながら、国家補助策を活用しつつAI・自動運転・量子コンピューティング向けの高付加価値チップ開発で巻き返しを図ることが、サムスンDS部門再生の鍵となる。
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