戦闘機開発、作業を加速 日英伊防衛相がテレビ会談 三菱重工系など出資の合弁設立を歓迎
2025/07/08 (火曜日)
合弁会社は三菱重工業などが出資する「日本航空機産業振興株式会社(JAIEC)」、英BAEシステムズ、伊レオナルド社が出資して設立。GIGOとの契約締結後、開発が本格化することになる。
日英伊3社が設立「Edgewing」──次世代戦闘機開発を担う合弁会社の背景と国際協力事例
2025年6月20日、英BAEシステムズ、伊レオナルド社、日本航空機産業振興株式会社(JAIEC)の3社は、次世代戦闘機を共同開発する合弁会社「Edgewing」を正式に設立した。各社が33.3%ずつ出資し、英国に本社を置くことで、政府間組織GCAP(Global Combat Air Programme)の要請に即応する体制を構築する。GIGO(GCAP International Government Organisation)との契約締結後、2025年以降、設計・開発が本格化する見込みだ。:contentReference[oaicite:0]{index=0}
GCAPは2022年12月の日英伊3国首脳による共同声明で開始を宣言。英国の「Tempest」、日本の「Mitsubishi F-X(次期支援戦闘機)計画」、イタリアの「FCAS(Future Combat Air System)」を統合し、2035年までに量産機を実戦配備する目標を掲げた。2023年12月には各国政府間でデザイン権や開発責任を定める条約を締結し、GIGOを英国に設置。Edgewingは産業側パートナーとして、設計権限(Design Authority)を保有し、2070年以降まで製品ライフサイクルを統括する役割を担う。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
JAIECは三菱重工業を中心に航空機産業各社が参加する「日本航空機産業振興株式会社」が母体。2024年7月に三菱重工と日本航空機製造企業連合体が出資し設立し、日本の産業界からの参画窓口を一元化した。Edgewingへの出資を通じ、エンジン周辺システム、電子機器、素材研究などで技術協力を行う予定だ。日本側はX-2開発で培ったステルス技術や、電波吸収材などの先進技術を提供する。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
BAE Systemsは英Tempestを主導し、英国防省とともに機体全体設計・ソフトウェアアーキテクチャを担う予定。Leonardoはイタリア国内の航空機生産拠点を活用し、空中給油装置、電子戦装置、アビオニクス分野を担当。両社とも欧州内外で複数の多国間軍需プロジェクトを手がけており、大規模サプライチェーン管理や品質保証体制を持つ点が採用要因となった。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
欧州ではドイツ・フランス・スペイン連合によるFCAS(Future Combat Air System)が進むが、統一仕様の策定や予算配分で難航している。一方、米国はNGAD(Next Generation Air Dominance)計画を米空軍とノースロップ・グラマンらが推進し、試作機の実飛行試験が2023年から進行中。これらと比べ、GCAPは日英伊3国の小規模連合ながら、設計権の中央集約と政府間条約による明確なガバナンスが特徴と言える。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
Edgewingは2025年末に詳細設計(Critical Design Review)を完了し、2027年に技術実証機「Excalibur」を初飛行させる計画。2030年までに量産準備を整え、2035年の初期運用能力(IOC)獲得を目指す。長期的には2070年以降も運用可能とする機体寿命を想定し、改修プログラムやブロックアップグレード方式を導入する。:contentReference[oaicite:5]{index=5}
合弁会社の設立に伴い、英国・イタリア・日本で各1000人規模の設計・試験要員が新規雇用される見込み。また、Tier 1~Tier 3サプライヤーを含め9000社以上が参加し、各国の航空宇宙・防衛産業の下支えとなる。デジタル設計やリモートコラボレーションの普及が進み、地域産業のデジタル化推進にも寄与するだろう。:contentReference[oaicite:6]{index=6}
Edgewing設立は、日英伊3国が「次世代戦闘機」という国家戦略に一丸で挑む歴史的瞬間である。JAIECを通じた日本の参画は、国内産業の国際競争力向上と技術継承に資するとともに、BAE SystemsやLeonardoとの協働で防衛技術の新たなパラダイムを生む可能性を秘める。欧州FCASや米国NGADとの比較から見えてくるのは、ガバナンスの明確化と設計権集中が大型軍需プロジェクト成功の鍵であるという点だ。2035年の初期運用開始に向け、設計・試験・量産フェーズをいかに円滑かつ効率的に進めるかが、Edgewingの真価を問われる。国家間の信頼と産業連携が如何に維持されるかが、“未来の空”を制する試金石となるだろう。
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