トー横の若者支援団体「日本駆け込み寺」補助金交付取り消し 元事務局長薬物事件で東京都

トー横の若者支援団体「日本駆け込み寺」補助金交付取り消し 元事務局長薬物事件で東京都

2025/06/30 (月曜日)

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都によると、同法人には令和5年度と6年度にそれぞれ2千万円を超える「都若年被害女性等支援事業補助金」が交付されており、相談者と支援者の適切な関係性の確保が不十分であったなどとして5年度分は一部を、事業に対する社会的信用を著しく失墜させたなどとして6年度分は全額の返還を命じた。

同法人を巡っては、警視庁が5月18日、コカインを所持したとして、麻薬取締法違反(所持)容疑で、元事務局長の男を現行犯逮捕

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都補助金交付法人で不正・薬物事件──若年被害女性等支援事業の裏側と再発防止の課題

東京都は2025年6月30日、令和5年度・6年度に若年被害女性等支援事業として交付した補助金の返還を命じたと発表した。令和5年度分(2,200万円)は相談者と支援者の関係性確保が不十分などの理由で一部返還、令和6年度分(2,100万円)は事業に対する社会的信用を著しく失墜させたとして全額返還とした。また、5月には同法人の元事務局長がコカイン所持で現行犯逮捕され、法人運営のガバナンス不備が改めて浮き彫りとなった。

1.若年被害女性等支援事業と補助金交付の経緯

若年被害女性等支援事業は、性的被害やDV被害を受けた若年女性の相談・就労支援を目的とし、2019年度から東京都が都内NPO等に補助金を交付している。相談窓口設置、心理カウンセリング、職業訓練支援など多岐にわたる事業内容であるが、専門性や運営体制を審査した上で交付先を選定し、事業報告書による実績検証を行う仕組みとなっていた。

2.交付決定から返還命令へ──適切な関係性確保の不備

都が実施した令和5年度の中間監査では、相談者の匿名化基準の不徹底、支援者の守秘義務契約未締結など、個人情報保護や支援者・相談者の適切距離確保が不十分と指摘された。令和6年度でも同様の問題が認められ、加えて事業報告書の作成漏れや収支内訳の誤記が発覚。これらを受け、都は5年度分の一部返還と6年度分全額返還を決定した。

3.元事務局長の薬物逮捕が示すガバナンスの脆弱性

2025年5月18日、警視庁は同法人元事務局長の男(当時38)を麻薬取締法違反(所持)容疑で現行犯逮捕した。調べに対し男はコカイン所持を認め、法人内での私的流用や利益相反の有無も疑われている。都の監査でも、役員会の議事録欠如や内部通報制度の不在など、運営体制の不備が指摘されており、法人としての統制力・透明性に重大な問題があることが鮮明となった。

4.他都市の支援事業と比較した監督強化策

大阪市や福岡市でも同様の被害者支援事業を実施しているが、各自治体は外部評価委員会の設置、運営助成に伴う定期的な現地調査、会計監査人の導入などを義務付けている。東京都はこれら先行事例を踏まえ、今後は事業選定時に助成先のコンプライアンス体制を厳格に審査し、助成後も年2回以上の現地確認や第三者監査を導入する方針を示している。

5.法規制・制度面の課題と改善提言

  • 助成要綱に「守秘義務契約」「利益相反防止規定」の明記強化
  • 補助金交付法人に対する定期的なコンプライアンス研修の義務化
  • 都・区市町村横断での助成先データベース共有による多重助成防止
  • 内部通報制度・ホットラインの設置と通報者保護措置の法制化

6.被害者支援の信頼回復に向けて

性的・DV被害女性への支援事業は、相談者の安全確保と信頼構築が最優先である。今回の不正事例は、被害者の相談意欲を削ぐだけでなく、支援の社会的意義全体を損ねかねない。都は再発防止策に加え、被害者・支援者の双方に対する説明会や意見交換会を開催し、透明性ある制度運用を進める必要がある。

まとめ

東京都の若年被害女性等支援事業を巡る補助金返還命令と元事務局長の薬物逮捕は、助成事業のガバナンスと信頼性確保に根深い課題があることを浮き彫りにした。今後は、助成法人への審査・監査体制の強化、内部通報の義務化、研修制度の徹底など制度面の整備が不可欠である。また、支援事業の本質である被害者の安全確保とメンタルケアを最優先に据えた運営を担保しなければ、被害者支援の社会的信頼は回復しないだろう。自治体と助成法人が連携し、透明性と専門性を両立させた支援事業モデルの構築が強く求められる。

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