森山幹事長「消費税守り抜く」
2025/06/29 (日曜日)
自民党の森山裕幹事長は29日、奈良県五條市で講演し、多くの野党が物価高対策として参院選公約に盛り込んだ消費税減税に対抗する姿勢を強調した。「何としても消費税を守り抜く。代替財源を示さずに、消費税を下
消費税は1989年4月、自民党・竹下内閣下で3%として初めて導入された。導入当時、国民の反発は非常に強く、全国各地で反対運動やデモが頻発した。以降、1997年に5%、2014年に8%、そして2019年10月に10%へと段階的に引き上げられ、食料品などに対する軽減税率も併せて導入された。身近な消費行動に直接課される税として、導入以降も国民生活への影響が大きく注目され続けてきた。
7月に行われる参議院選挙では、物価高騰を受けた「消費税減税」が多くの野党の公約に掲げられているのに対し、自民党・森山裕幹事長は奈良県五條市での演説で「何としても消費税を守り抜く」と断言。代替財源を示さない減税案には批判的な姿勢を崩さない意向を強調した
与党の財源論と政策手法
参政党、れいわ新選組をはじめとする野党は「消費税1~2%程度の減税」で家計負担を軽減し、所得再分配を強化すると主張。しかし、減税実施に伴う財源不足をどのように補うかは具体性に乏しく、法人税引き上げや高齢富裕層への課税強化を合わせて提案するものの、経済成長や投資への影響を懸念する声も出ている。
試算では、消費税を1%減税すると年間約3兆円の税収減になる。これを賄うには、法人税を2%引き上げでも約1.5兆円しか捻出できず、高齢者医療費の自己負担増や社会保障給付削減を伴う可能性が高い。また、成長戦略による税収増を見込むプランもあるが、実現時期が不確実である点は財務当局から懸念されている。
欧州諸国ではVAT率が20%前後が一般的で、軽減税率適用範囲も広い。経済危機下では一時的に税率を引き上げる例もあるが、低所得層保護のために食料品などの軽減税率は必ず設けられている。日本でも今後、軽減税率の拡大や所得控除制度との連携による制度設計が議論される見込みだ。
消費税論戦の帰趨は、選挙後の議席数に直結し、財政政策の舵取り権を握る与野党の力量を決する。減税を掲げて支持を伸ばす野党と、「安定財源」を訴える与党、どちらを信任するかが、有権者の「消費行動」と「社会保障の未来」を左右する。
1989年の導入以来、日本の消費税は社会保障財源の柱として機能してきたが、物価高が続く中で「減税論」が参院選の最大争点に浮上している。自民党は「守り抜く」姿勢を崩さず、給付型支援の併用を提案。一方、野党は減税による即時的家計支援を訴え、代替財源の不足が大きな課題となっている。最終的には、選挙で選ばれる議員が、安定した財政基盤と国民生活支援のバランスをどう取るかが焦点だ。短期的な景気刺激策と長期的な財政健全化、双方を両立させる政策設計こそが、今後の日本の持続可能性を左右すると言えるだろう。
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