中国外務省報道官、リスク見つかれば「直ちに輸入制限」 日本水産物「核汚染水」言及も
2025/06/30 (月曜日)
国際ニュース
中国外務省の毛寧報道官は30日の記者会見で日本産水産物の輸入再開に関し、検査などでリスクが見つかれば「直ちに輸入制限の措置を取る」と述べ、安全性の確保に万全を期す考えを示した。
毛氏は東京電力福島第1原発処理水を「核汚染水」と改めて呼び、海洋放出に「反対する中国の立場に変わりはない」と強調。国際社会と連携し、日本に対し「海洋放出のリスクを適切にコントロールするよう」働きかけを続けていくとした。
2025年6月30日、中国外務省の毛寧報道官は記者会見で、日本産水産物の対中輸出再開に関して「検査などでリスクが見つかれば直ちに輸入制限の措置を取る」と述べ、安全性確保に万全を期す考えを示した。同時に、東京電力福島第1原発の処理水については改めて「核汚染水」と呼び、海洋放出に反対する立場を強調。国際社会と連携し、日本に「リスクを適切にコントロールするよう」働きかけを継続するとした。
中国は2023年8月、福島第一原発処理水の海洋放出を理由に日本産水産物への一律禁止措置を発動。これにより、中国向け水産物輸出額は2022年の約871億円から事実上ゼロに落ち込み、北海道など主要産地に深刻な打撃を与えた。以降、日本側はIAEAの安全審査を受け入れ、中国にも独自検査を認めるなど外交努力を重ね、2025年5月に輸出再開に向けた手続き開始で合意に至った。
再開後は、日本側事業者が中国当局に事前登録し、出荷前に放射能検査証明と衛生証明を取得する必要がある。再開対象は全国47都道府県中、福島を含む10都県を除く地域の水産物に限られる見込み。検査で基準値超過が確認されれば即座に輸入停止・回収措置が取られ、追加リスクが出れば登録抹消もあり得る。
中国は処理水を「核汚染水」と呼び、環境汚染や漁業への影響を強く懸念。北京は日中間の「四点協議」として、自ら独立サンプリングやモニタリング権を求めるなど、透明性の担保を強調してきた。一方、IAEAは2023年8月の放出開始時から4回にわたり安全性を確認し、「公衆・環境への影響は極めて低い」と報告している。
中国では官製メディアやSNSで「危険性を見つけ次第輸入禁止」の報道が繰り返され、消費者の間に不安が根強い。実際、再開決定後もスーパーの売り場では日本産の品薄が続き、輸出再開を歓迎する日本側漁業者団体からは「まだまだ安心できない」との声が上がる。
中国側がリスクを見つかれば即時輸入制限を課す強硬姿勢は、日本側に品質・安全管理の徹底を求めるものだ。同時に、福島処理水放出をめぐる「海洋環境リスク」への反発は根深く、輸入再開はあくまで一部地域に限定された暫定措置にすぎない。今後は、日本の輸出事業者が厳格な検査と情報公開を行い、中国当局・消費者の信頼回復を図ることが不可欠となる。国際原子力機関(IAEA)の継続的モニタリングや第三国による検証も引き続き重要な役割を果たすだろう。
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